イーロンマスクが実績ゼロから宇宙を目指せた訳 民間企業が宇宙ビジネスをリードできるアメリカ

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2023年4月に1回目のスターシップ打ち上げを実施しましたが、数分後に上空で爆発。同年11月の2回目の打ち上げでは、ブースターから宇宙船の分離に成功して宇宙空間に到達した直後に爆発しました。いずれも燃料漏れなどのトラブルが原因とみられています。世界を牽引するSpaceXでさえ、ロケット開発は難しいのです。

3回目の打ち上げは2024年3月14日。宇宙船はブースターから分離して宇宙空間に到達し、約1時間飛行しました。予定していたインド洋には着水しませんでしたが、前2回に比べると前進しており、マスク氏は同日、Xに「軌道速度に到達した。おめでとう」とコメントし、NASAのビル・ネルソン長官もXで「試験飛行の成功おめでとう」と投稿し、この成果を称えました。

既存の衛星通信の欠点

マスク氏の事業家としての優れた点は、ロケット開発や打ち上げのみならず、通信事業という地上のビジネスにつなげ、成果を挙げていることです。 地球上のほぼ全域での衛星インターネットアクセスを可能にするStarlink(スターリンク)事業の開発は2014年に始まり、2018年にプロトタイプのテストフライト衛星2機を打ち上げました。2019年5月には、商用サービスに向けた大規模な打ち上げが実施され、60機の運用衛星が配備されました。現在では、5000機以上の衛星が低軌道で運用され、衛星コンステレーション(衛星群)を構成しています。

インターネット通信には、固定のネット回線や、既存の衛星通信を用いたサービスがあります。固定のネット回線は、接続ケーブルを引いたり、基地局からモバイル端末に電波を送信したりすることで、インターネット通信を提供しています。通信の遅延が少なく、安定してデータ通信ができる一方、通信回線の敷設や電波塔の設置などが必要で、山間部や離島、海上などの条件では通信が難しいという課題があります。

また、既存の衛星通信は、高度約3万6000㎞にある静止衛星を利用しています。環境を問わず通信できる利点があるものの、地上と衛星との距離が遠いため、通信速度の低下や遅延が生じるという欠点がありました。

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