イーロンマスクが実績ゼロから宇宙を目指せた訳 民間企業が宇宙ビジネスをリードできるアメリカ

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同社は「民間の力だけ」でロケット開発を進めたわけではありません。SpaceXの提供する打ち上げサービスを、ロケット開発段階から積極的に買い上げて支援したのは、ほかでもない米国政府です。

「ファルコンⅠ」は3回打ち上げに失敗し、4回目の打ち上げでようやく成功しました。1号機、2号機はいずれも米防衛高等研究計画局(DARPA)の技術試験衛星を搭載しました。3号機はNASAと米軍の小型衛星を搭載していました。民間に国の衛星を任せて資金を投入し、スタートアップ企業の育成を図ったのです。

信頼性が未知数のスタートアップでも支援する米政府

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米国は宇宙産業振興のため、SpaceXの初期の打ち上げから支援しました。信頼性が未知数であるスタートアップが開発したロケットであっても積極的に支援するのが米政府の民間企業支援策なのです。

SpaceXの場合、躍進のきっかけになったのは、2006年にNASAと契約した商業軌道輸送サービス(COTS)でした。COTSはNASAが計画した民間企業によるISSへの輸送サービスです。これを落札したのが、「元祖宇宙ベンチャー」として実績のあったOrbital ATKとSpaceXでした。

注目してほしいのは、この時点でロケットの打ち上げ実績を全く持っていないスタートアップのSpaceXが落札できたという点です。米国政府は、実績のない企業であっても、政府が要求する技術要件や資金などの一定の基準を満たし、有益になると判断すれば、契約に問題はないと判断するのです。

COTS契約のもと、SpaceXは政府の支援を受けて実績を重ね、2009年の商業ロケット打ち上げ成功につなげたのです。

堀口 真吾 DigitalBlast 代表取締役CEO

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ほりぐち しんご

野村総合研究所、日本総合研究所等にて、主にデジタルテクノロジーを活用した新規事業開発、マーケティング戦略の立案・実行、デジタル戦略立案・実行に従事。特に金融、ハイテク・通信、宇宙を専門とする。

2018 年にISS 等での使用を想定した小型ライフサイエンス実験装置の研究開発を行うDigitalBlast を創業。現在、企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)や宇宙ビジネスコンサルティングを行うDigitalBlast Consultingの代表も務め、宇宙利用の拡大を目指している。

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