イーロンマスクが実績ゼロから宇宙を目指せた訳 民間企業が宇宙ビジネスをリードできるアメリカ
SpaceXはロケットの再利用の開発にも挑戦し、これを実現させました。この結果、ロケットの打ち上げコストが低減化され、打ち上げ頻度は高まりました。 2021年に31回、2022年に61回、2023年に96回の打ち上げに成功しています。4日に1回のペースでロケットを打ち上げているのです。
2023年の世界のロケット打ち上げ回数は212回で、対2022年比18%増となり、過去最高を記録しました。SpaceXはその45%を占め、ロケット打ち上げの1強と言える存在になっています。 再利用可能なロケット技術の開発は、打ち上げコストの大幅な削減を実現しました。それにより、小型衛星の打ち上げ市場が活性化されました。
小型衛星の最大のメリットは「安くて早い」
小型衛星の最大のメリットは、安価で早く製造できる点にあります。従来の大型衛星の多くは、設計から打ち上げまでに5年以上の期間を必要としていました。5年たてば、市場の動向が大きく変わり、ビジネスとして成立しなくなるリスクがあります。
一方、小型衛星だと最短で1、2年で作ることが可能です。ビジネス投資を考えるうえで、この違いは非常に大きいものがあります。⼩型衛星であれば数千万円の低予算で実現できるため、ビジネスの見通しを立てやすく、リスクも⼩さく済みます。小型衛星の打ち上げ費用減少によって衛星通信や衛星からの観測データの取得といった民需が拡大し、それが打ち上げ費用のさらなる低減につながるという良循環が実現されています。
SpaceXは今、スターシップ(Starship)の開発を進めています。スターシップは完全再使用型の2段式超大型ロケット・宇宙船です。ロケットの2段目の部分がスターシップで、1段目のブースター部分はスーパーヘビーと名付けられています。2段目は長期間の軌道滞在が可能な乗客・貨物兼用の宇宙船として設計されています。スターシップは米国航空宇宙局(NASA)のアルテミス計画の月着陸船に選定されており、2026年の月面着陸が計画されています。
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