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「中国版スターリンク」実用化に米国の厳しい目 中国の自動車大手が展開する衛星ビジネス

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中国の自動車大手が展開する「中国版スターリンク」が運用され始め、中東やアフリカに広がる。

米中の宇宙開発競争は民間企業での低軌道通信衛星においても始まっている。写真は神舟15号の打ち上げ (写真:You Li/The New York Times)

多数の低軌道人工衛星で地球規模の衛星インターネットサービスを提供する「中国版スターリンク」の実用化が加速している。この領域ではイーロン・マスク氏が率いる米スペースX社が大きく先行しているが、高度なロケット技術や低コストなどを武器に中国企業が追い上げを図っている。

本家スターリンクに大きく出遅れる中国

気象観測用などの静止衛星の高度は約3万6000キロメートルの高軌道、代表的な衛星測位システム・GPS(全地球測位システム)の衛星は同約2万キロメートルの中軌道だ。それに対し低軌道衛星は同300〜2000キロメートルの軌道上を周回する。

地上からの距離が近いため1機当たりのカバー範囲が狭く、多数の衛星が必要となるが、距離が近いぶん通信が速く、精度が高い。衛星自体が小さくて済むため、本体や打ち上げのコストが低いなどのメリットがある。

米スターリンクは2018年に最初の衛星を打ち上げ、2020年に北米と欧州で試験運用を開始した。日本でも2022年から運用が始まっている。現時点で約3000機の衛星が運用中で、世界35カ国以上でサービスが利用可能。現時点の低軌道衛星の民間利用では、飛び抜けた存在だ。最終的には4万機の運用を目指すとされる。

一方、中国では、低軌道衛星の初の試験運用が2018年末。打ち上げが増えたのは2023年以降だ。スターリンクとの差は大きい。高度なロケット打ち上げ技術を持ち、独自の衛星測位システム「北斗」も運用する中国がこの領域で出遅れたのは、開発主体が国有企業中心で、国策事業の側面が強く、柔軟な技術開発や低コスト化が進まなかったからだとされる。

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