真面目な人ほど職場で「闇堕ちしてしまう」真因 「倫理感の欠如で不正が起きる」への違和感

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真面目な社員が、言われたことに真面目に対応した結果、悪事に手を染め、ダークサイドへ堕ちてしまうという皮肉。

これは、もちろん結果的にあり得ない所業ではありましたが、彼ら・彼女らだって何とか正当にやりとげたいのだが、逆立ちしても自力ではどうにもならないような「目標」と対峙してきたことがうかがえます。頼みの綱であるはずの上司も、どうしていいか答えがないので、「部下の自走」などをおそらくは大義名分にしながら、「自分で考えろ」と言い放つ。

真面目な人が「闇堕ち」する経緯

そのようにして結果的に、部下も上司も組織まるごと袋小路に追いやられた事例なのですから。これぞまさに「職場で傷つく」ことを経験していたのだと、言って差し支えないと思うのです。

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「職場で傷つく」ということをなかったことにして、それも、「生産性」だの「積極性」だのという形のない「能力評価」の問題にさせられること。これが、真面目にちゃんとやる社員が、いかにして、思考停止に陥り、無能化されていくのか。「闇落ち」してしまうのか。

このような問いを埋もれさせる真因だと私は考えています。

勅使川原 真衣 組織開発コンサルタント

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てしがわらまい / Mai Teshigawara

1982年横浜生まれ。東京大学大学院教育学研究科修了。ボストンコンサルティンググループやヘイグループなどのコンサルティングファーム勤務を経て、独立。教育社会学と組織開発の視点から、能力主義や自己責任社会を再考している。2020年より乳がん闘病中。著書『「能力」の生きづらさをほぐす』(どく社)は2023年紀伊國屋じんぶん大賞第8位に。既著に『働くということ 「能力主義」を超えて』(集英社新書)、最新刊は『職場で傷つく』(大和書房)。だいわlog.「組織のほぐし屋」、朝日新聞デジタルRe:Ron「よりよい社会と言うならば」、論壇誌「Voice」(PHP)などで連載中。

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