真面目な人ほど職場で「闇堕ちしてしまう」真因 「倫理感の欠如で不正が起きる」への違和感

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これも「わかるわかる」という方が多いのではないでしょうか。

無茶な開発スケジュールを掲げられ、現場の作業単位では、無理でどうしていいかわからない状態が無数にあったものと思われます。そこで、上司に相談するも、忙しいうえに、そもそも人間業を離れた目標値を達成する術が上司にあるわけでもなく、こう言い放つ。

「自分で考えろ」

不正はもちろんひどいのですが、組織運営を専門とする私からすると、現場の社員が不正を働く以前にとても「気の毒な状況」であったのだろうと思えてなりませんでした。

「倫理感」の問題ではない

さらに特筆しておきたいのは、この報道に際して、朝のニュース番組でコメンテーターが「社員の倫理観のなさが……」などと話されていた点です。

社員個人の倫理観の問題でしょうか?

悪人が悪事を働いたのでしょうか?

倫理観があっても、「生産性」という言葉がさも正しく、それ以外は悪だと思い込まされたということではないでしょうか。検査担当の社員は嬉々として、検査車を改造したり、データをちょろまかしたりしていたわけではないのだと思うのは私だけでしょうか。

調査委員会のこんな記述からも、推察されます。

「問題が起きても現場で抱え込んでしまう状況が生じていた」

不真面目な社員が、自らの利益のために適当なことをした、のでは決してなさそうなわけです。

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