プロが薦める「ご当地やきとり」の奥深き世界 その数は全国に30種類もある

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2010年に誕生したばかりのネオご当地やきとり「阿寒やきとり丼」。害獣エゾシカの駆除にもなり、高タンパク、鉄分多め、低脂肪という利点も

「やきとり」と聞いて何が思い浮かぶだろうか。居酒屋の定番料理で、ビールのお供にピッタリな焼き鳥をイメージする人は多いかもしれない。それは半分だけ正解。大辞林をひもとけば「鳥肉を串に刺して、たれや塩をつけてあぶり焼いた料理。鳥のほか、豚や牛の臓物を焼いたものにもいうことがある」と記述されている。やきとりはひらがな表記だと鳥肉だけにとどまらない、肉料理でもあるということだ。

そんな「やきとり」が全国津々浦々で、さまざまなご当地料理として愛されていることは、意外と知られていない。たとえば、東京・大手町には全国の7大ご当地焼き鳥が集結した「全や連総本店東京」があるが、拙書『全国個性派やきとり100店』(ポプラ社)の取材で各地を回った結果、日本には、なんと30種類ものご当地やきとりが存在することが判明した。

北海道釧路市阿寒町。マリモで有名な阿寒湖の周辺にはご当地グルメ「阿寒やきとり丼」がある。これはエゾシカの肉を用いた丼。「やきとりなのにエゾシカ」というインパクトも加味して考案された。釧路市ではエゾシカが増えすぎて害獣として駆除しなければならず、一石二鳥というわけ。串刺しのエゾシカ肉やきとり3種類とごはんを組み合わせた丼というゆるい定義で、市内4店舗で提供している。

ご当地やきとりのこだわり

ご当地やきとりが「ご当地」たるゆえんはさまざま。一つは「肉の違い」がある。

鶏でなく他の動物を用いるところは室蘭を筆頭として、豚肉の北海道函館市、山形県寒河江市、埼玉県東松山市など。エゾシカの北海道釧路市阿寒町も、これにあたる。ブロイラーが考案される以前の鶏は高価であったために豚で代用しなければならなかったり、近くに養豚場があったので使いやすかったからだったり、などの理由が挙げられる。

「味付けの違い」で他と差別化するご当地やきとりもある。

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