「やる気をあてにしない」キーエンスが高収入な訳 社員の属人性に依存しない「仕組み化」が強み

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また、製品開発においては、開発プロセスを細分化し、各工程の担当者とその役割を明確にすることで、開発の効率化と品質の向上を図ることができます。さらに、社内の情報共有や意思決定のプロセスをルール化することで、コミュニケーションの円滑化と意思決定のスピードアップを実現できます。

このように、キーエンスでは、あらゆる業務において仕組み化を推進することで、組織全体の生産性と効率性を高め、継続的な成長を実現しているのです。仕組み化は、同社の強みの源泉であり、他社との差別化を図るうえで欠かせない要素となっています。

もちろん、多くの企業が仕組み化に取り組んでいると考えられますが、その多くは仕組み化を徹底できていないのではないでしょうか。仕組み化により成果を上げるためには、徹底と継続が必要です。キーエンスの仕組み化は、個人の作業効率を高める工夫である以上に、組織として結果を出すことに重点が置かれています。

そのために、ルールを守ることに対する社員のモチベーションの高さが異なります。そこにはルールを守ることに対する信賞必罰や、仕組み化が有効であることを確認す化を行える組織であるべきです。

仕組みを守ることが当然の風土

かといって、キーエンスでは四六時中「仕組みが、仕組みが」と唱えられているわけではありません。仕組み化することや仕組みを守ることが当然になっているためです。

そのため何か問題が発生すれば、当事者である個人のスキルや能力を責める前に、まずは仕組みに問題がなかったかが問われます。また、キーエンスには結果だけでなくプロセスも評価する仕組みがあります。

たとえば、営業は一定の行動量をこなしていればいずれは結果が出ることがわかっています。そのため、成約数や売上金額だけでなく、アポ数や面談数といった途中の行動量も評価されます。

ですから、たとえ今月の売上が今ひとつだったとしても、面談数が目標を達成できていれば、努力をしていると評価されます。売上には時間差が生じているだけかもしれないからです。

逆に売上が良かったとしても、行動量が達成されていなければ、その理由は厳しく問われます。行動量が伴っていない売上はまぐれの可能性があるためです。ところで仕組みは実施する人たちだけが考えるものではありません。キーエンスでは本社側で仕組みを作ることが多いのです。実際、私も本社にいたときには、いわゆる評価項目を設計したり変更したりするといった仕組みづくりに従事していました。

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