「やる気をあてにしない」キーエンスが高収入な訳 社員の属人性に依存しない「仕組み化」が強み

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マネジャーの立場になった人の中には、自分にはマネジャーとしての能力やリーダーとしての器があるのだろうかと悩まれる人も多いでしょう。しかしそれはマネジャー自身が自らの属人性に依存しようとしていることが問題なのです。

マネジャーの仕事は仕組み化だとわかれば、人としての器だとかリーダーシップといった、曖昧な人間性だけに依存する必要がないことがわかります。もちろん、人として優れていることやリーダーシップはあるに越したことはありません。しかし、それらがないことで悩んだり落ち込んだりする前に、まずは仕組み化を行うべきです。

ですから、マネジャーが最も口にしてはいけないのが「とにかく頑張れ!」という言葉です。「頑張れ」だけなら誰にでも言えます。そもそも部下にしても「頑張れ」と言われても何をどう頑張ればいいのかわからないでしょう。

ですから部下の根性に頼るのではなく、行動の仕方を示すことがマネジャーの仕事だと考えます。このように行動すれば、このような結果を出すことができるのだ、ということを示すことが大切です。

そしてキーエンスでは、マネジャー自身も仕組みの中で行動しています。月初に売上予想を出すことや会議の頻度を決めたり、部下の報告を確認したりなど、マネジャーとしてやるべきことが決まっているのです。

ただし、その仕組みにプラスアルファの自分なりの工夫を加えることも求められます。

「社員の属人性」にも「個人のやる気」にも依存しない

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キーエンスの躍進ぶりを見た人から、「よほど優秀な人材を集めているのだろう」とか「高学歴でなければ採用されないのだろう」といったことを言われることがあります。

「優秀さ」を判断することは難しいのですが、学歴で見てみますと、キーエンスの社員の学歴は実に多様です。必ずしも高学歴の人たちばかりではありません。キーエンスでは、採用の際に学歴はそこまで重視されていません。

また、社員それぞれのバックグラウンドも実に多様です。結局、仕組みがしっかりと回っているので、社員の属人性には依存していないのです。また、個人のやる気にも依存していません。

たとえば営業担当者の面談数が50件に達したら1ポイント付与されるなどのプロセスを評価する仕組みがあるため、誰もが50件を超えるように行動しています。その結果、個人のやる気や真面目さ、マメさといった性格に依存することもありません。

岩田 圭弘 アスエネ株式会社 共同創業者 兼 取締役COO

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いわた よしひろ / Yoshihiro Iwata

慶應義塾大学経済学部卒業後、2009年にキーエンスに新卒入社。マイクロスコープ事業部の営業を担当。2010年新人ランキング1位を獲得。その後、2012年下期から3期連続で全社営業ランキング1位を獲得し、マネージャーに就任。その後本社販売促進グループへ異動、営業戦略立案・販売促進業務を担当。2015年、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに転職。小売、医薬、建設業界の戦略策定、新規事業戦略策定に従事。2016年にキーエンスに戻り新規事業の立上げに携わる。2020年アスエネに参画。

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