合気道の技で実感、身体能力を上げる心の使い方 強い力は不要、コツをつかめば誰でもできる
例えば、パンチを打つ場合でも、体から動いてしまう「起こり」のあるパンチは、どれだけ早くても、予備動作の段階で相手に事前に察知されてよけられやすくなります。
一方、心を先に動かす「起こり」のないパンチは、スピード自体はそれほど速くなくても、事前に察知されにくいため相手の反応が遅れ、当たりやすくなるのです。
武道や格闘技を経験されていない方からすると不思議な話かもしれませんが、実はそれほど特別なものではありません。プロの選手なら、この技術に関する知識がなくても、日々のトレーニングによって習得し、自然にやっていることだと思います。
実際、プロボクサーの試合などを見ていると、実際にパンチを打たなくてもイメージで激しく攻防しているように見えるのではないでしょうか。
特に、フェイントを仕掛ける際には、実際にパンチを打ち出す感覚で心と体を使い、相手側のミスを誘っています(「フェイントをかけてやる」という意識だけでは、相手がうまく引っ掛かってくれないと聞いたことがあります)。
もっとも、読者のみなさんの目的・目標は、武道や格闘技の「達人」になることではないので、別に日常の1つひとつの動作の「起こり」をなくすほどうまくできる必要はありません。普段の動作との身体感覚の違いを感じてもらうだけで十分です。
次に行おうとしている「自分の体の動き」を、心で意識している時と意識していない時の身体感覚の違いを感じとることにより、心で体をコントロールする感覚をつかみやすくなります。うまくできるかどうかは気にせず、気軽に取り組んでみてください。
「氣の合氣道」の「折れない腕」
ところで、「普段の動作との身体感覚の違いを感じてほしい」とは言ったものの、その違いはとても微妙なものなので、それこそ武道や格闘技の経験をそれなりに積んだ方でなければ、なかなか感じとるのは難しいかもしれません。
そこで、試していただきたいのが、「氣の合氣道」の世界では有名な「折れない腕」です。1人でできないのが難点ですが、こちらのほうが一般の方(武道・格闘技未経験者)でも、心と体の関係をより体感しやすいと思います。
やり方は次の通りです。
まず、腕を肩の高さにまっすぐ上げて、他の人に肘のところから腕を曲げてもらってみてください。この時、腕を曲げられないように一生懸命腕に力を入れて曲げようとする相手の力に対して抵抗します。力いっぱい握りこぶしを作ってもかまいません。
この状態だと、腕を曲げようとしてくる相手の力が強ければ、抵抗するのがかなりしんどいはずです。この感覚をしっかりと体で覚えてください。
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