千葉・ユーカリが丘「人口増」ニュータウンの戦略 "自給自足"し続け50年、難題に挑む開発会社

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「ユーカリ優都ぴあ」併設のケアガーデン
“五感を味わう”をテーマにした「ユーカリ優都ぴあ」併設のケアガーデン。高齢者や障がい者が五感を働かせることは、彼らの身体活性化にもつながる。ガーデンの中を散歩するなかで、手で触れ、香りを嗅ぐなど全身で味わうことができる(写真撮影/土屋 比呂夫)
福祉施設「ユーカリ優都ぴあ」
福祉施設「ユーカリ優都ぴあ」。グループホームと学童保育所が一体して存在する(写真撮影/土屋 比呂夫)

次の一手を考え続ける

社会全体が高齢化、人口が減少していくなかで注目したい仕組みがあります。住み替えなどで空き家になった中古住宅に、新しい住民が住んでもらうための「ハッピーサークルシステム」という仕組みで、2005年より力を入れています。

例えば、戸建て住宅からタウン内の老人保健施設やマンションに移り住む高齢者の家、若い世代が子育て期に差しかかり、マンションから戸建てに住み替える際に従前の住まいを買い取り、リニューアルを経て、新たな入居者に向けて再販売しています。

このおかげで古くから住む住民は、住居を変えてこの街に住み続けることができるように。また新たな住民には、手頃な価格の戸建住宅やマンションを選ぶ選択肢が増えたのです。

ハッピーサークルシステムの循環の仕組み
ハッピーサークルシステムの循環の仕組み(画像提供/山万株式会社)

永続的にこの仕組みが続くかは未知数です。なぜならば人口流入が増えていたとしても住宅供給数が増え続ければ、いずれ空き家を含めた住宅供給数の方が超過してしまう可能性があります。その時に、果たして山万がどのようなことをなしとげていくのか。街に関わる人にとっては興味深いところなのではないでしょうか。

タウン誌「わがまち」
1996年に創刊した、自治区内で作成しているタウン誌「わがまち」。暮らす人たちと山万が協働でつくり上げています。住民の声を掬い上げるために「わがまち」を通じてアンケートを実施することも。その回答率は非常に高いことから、市民の関心度合いの強さを感じる(写真撮影/土屋 比呂夫)

「私たちは長期的な視点と住民満足度の最大化を目指して街づくりを行ってきました」と池上さんは話しました。とはいえ予測不可能な現代ゆえ、この先10年のことですら誰も予測がつきません。もしかしたら住宅と人、街の関係は自分たちが想像し得ない仕組みや構図になっているかもしれない。

「だからこそ、千年先まで街が栄えるように、時代にあわせて柔軟に考えを変えながら、施策を模索し続けていく、という姿勢はやめてはならないと思っている」と池上さんは続けます。

持続的な街づくりをするためには、街を作る人、住む人たちはただ建てて・暮らすことをどこか1団体に頼るのではなく、住民と民間会社と行政が全員手を取り合って協議しながら歩む必要があるということです。それも、決まったシナリオ通りではなく、時には奇想天外な手法や考え方も。これからはこうした柔軟性が必要なのでしょう。

●取材協力
山万株式会社

取材・文/永見薫

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