千葉・ユーカリが丘「人口増」ニュータウンの戦略 "自給自足"し続け50年、難題に挑む開発会社

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ここでは、オフィスワーカーがリモートワークをすることができるほか、起業家のためのシェアオフィスも設けています。さらには、クリエイターや創作したい人向けに工房も備えられており、ユーカリが丘だけではなく、ユーカリが丘周辺の人にとっての人材交流地点もなっています。

商業施設内に入る、コワーキングスペース
商業施設内に入る、コワーキングスペース。拠点ができたことによってユーカリが丘以外でも創業に関心がある人が集まる(写真撮影/土屋 比呂夫)

子育て世代の応援にも力を入れています。直近では2022年に全天候型遊び場の「ユー!キッズ」をオープン。ガラス張りの開放的な雰囲気ゆえに、誰でも入りやすい環境です。平日の日中は多くの親子連れで賑わいます。

珍しい点は、仕事で忙しいお父さんとお母さんのためにワークゾーンが設けられていることです。子どもを遊ばせながらちょっとしたお仕事もできるのは共働き世帯にとって嬉しいことです。

ユーカリが丘総合子育て支援センター「ユー!キッズ」
全天候型の遊び場、ユーカリが丘総合子育て支援センター「ユー!キッズ」(写真撮影/土屋 比呂夫)

不動産や鉄道、商業、ホテル、子育て事業以外にも農地所有適格法人「山万ユーカリファーム」も運営しています。ここでは、いちご狩りができるビニールハウスやバーベキュー場の運営のほか、農作物直売所として「樫の木」の運営も行っています。

なぜこうした施設を設けたのか。それはただ漫然と住むだけ・会社との往復をするだけ、リタイア後に家の中で過ごすだけにはならないようにしたい、という想いがあったからです。

さらにはこうした自社グループの企業で街の住人を積極的に雇用しています。“働く”と“暮らす”がこの街で完結すれば、より愛着を持って住み続けてもらえるからです。

世代間の垣根を超えた交流を生む

コミュニケーションや他者交流の仕組みについても考えています。

総合子育て支援センターや老人保健施設、グループホームなどの福祉施設も多数増やしているとのこと。なかでも「ユーカリ優都ぴあ」は、多世代交流のシンボルスペース。学童保育所とグループホームが一体型になった幼老複合施設。機能は全く別物ではあるものの、ふれあいスペースやケアガーデンでは、世代を超えた交流が行われています。

例えば若年世代の遊びに、高齢者が一緒になって会話をしたり、教えたりする。一方、高齢世代が歩くことや動作をしようとする際に困難だったら、自然と児童たちが手を差し伸べる。普通に過ごしていたらなかなか生まれない交流が、ここでは自然な形で発生するのだそう。

山万ユーカリファーム
グループ会社の運営する、山万ユーカリファーム。この時期はいちごを栽培(写真撮影/土屋 比呂夫)
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