3つある!無印良品・セブンの「意外な」共通点

好業績が止まらない!「強さの秘密」はこれだ

松井:セブン&アイHDに見習うべき3つ目の力は「他社のノウハウを自社流にアレンジする力」です。

共通点3 他社のノウハウを自社流にアレンジする力

遠藤 功(えんどう いさお)早稲田大学ビジネススクール教授、ローランド・ベルガー会長。早稲田大学商学部卒業後、三菱電機、米国系戦略コンサルティング・ファームを経て現職。早稲田大学ビジネススクールでは、経営戦略論、オペレーション戦略論を担当し、現場力の実践的研究を行っている。また、欧州系最大の戦略コンサルティング・ファームであるローランド・ベルガーの日本法人会長として、経営コンサルティングにも従事。

松井:セブン&アイHDの場合は、ライセンス権を取得したアメリカとは異なる、小口や共同配送などを新たに導入し、業績を飛躍的に向上させたことはよく知られていますよね。

遠藤:ええ。米国のセブンが経営危機に陥った1991年には、日本側が米国の運営会社の株式を取得して子会社化するとともに、独自に発展させた日本式マニュアルを導入し、3年で経営を再建させました。

松井:そうです。ただ、「言うは易く行うは難し」で、他社の優れたマニュアルを導入し、うまく定着させるというのは、非常に骨が折れる難しい作業です。

遠藤前回も、無印良品のマニュアルには各社からの視察が殺到しているものの、なかなか他社がマネできない、という話でしたよね。「他社のノウハウを自社流にアレンジする」難しさは、いったいどこにあると思いますか?

松井:他社のマニュアルがいくら優れていても、人材も社風も違いますから、そのまま導入してもうまくいきません。自分の会社に合うように、うまくアレンジする力が必要です。セブン&アイHDの場合も、日本独自に米国のノウハウにはない仕組みをいくつも開発して、自社に定着させていくという、創意工夫があったと思います。

遠藤:松井さんの場合は、自社流にどのようにアレンジされたのですか?

松井:うちの場合は、ノウハウを導入する前に、むしろ自社の組織風土をよりフラットで、効率的なものに変えました。残業を段階的に減らしたり、役職の有無を問わず、社員同士が「さん」付けで呼び合ったりとかね。

遠藤:自社の風土を変革して、新たなノウハウのほうに近づけたのですね。

松井:そうです。以前、私がマニュアルの研修をさせていただいた、衣料品販売の「しまむら」の方から、「新たなマニュアルを自分たちのモノにしたのは、日本ではセブン&アイHDと無印良品だけだ」と、言われたことがあります。

遠藤:緻密な業務マニュアルがあることで有名な、「しまむら」さんのお墨付きをもらわれたのは、光栄なことですね。

本当に強い企業は、マニュアルと人の二本柱

松井:うれしい限りです。本当に「強い企業」というのは、会社から命令されなくても、社員が自律的に考えて動ける組織です。トップの指示で素早く現場が動くのも、自社のマニュアルを進化させたり、他社のマニュアルをうまくアレンジするのも、最後はすべて現場で働く人たちの力です。それが、良品計画が今後の目標とする「強い企業」像です。

遠藤:なるほど、つねにマニュアルを進化させようという意欲と創造性にあふれた社員たちこそが、競争力の源泉なのですね。今回は長時間にわたって、たいへん興味深いお話をお聞かせいただいて、ありがとうございました。

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