中国経済の「夜明け」は本物か 安定の持続性に疑問符

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 7月21日、中国経済は一見「夜明け」を迎えたようだが、安定の持続性に疑問を呈する向きも少なくはない。北京で3月撮影(2015年 ロイター/im Kyung Hoon)

[昆山/北京(中国) 21日 ロイター] - 第2・四半期の中国の国内総生産(GDP)伸び率は前年比7.0%と、横ばいを確保。減速が予想されていたなか、政府目標の7%成長を達成したことに市場はほっと一息ついた。

中国経済は一見「夜明け」を迎えたようだが、安定の持続性に疑問を呈する向きも少なくはない。

この25年で最悪とされる景気低迷に歯止めをかけるべく、対策を講じてきた指導部にとって、GDP統計は歓迎すべきニュースだ。

中国国家発展改革委員会(NDRC)の調査担当者は「企業は状況改善を報告しており、不動産セクターにも明るさが見られる」と話す。

問題は、第2・四半期に見られた中国経済の安定化が景気回復のシグナルなのか、それとも、長期的な不均衡を無視してでも成長目標を達成しようとする政府の闇雲な姿勢を反映しただけなのか、という点だ。

中国経済は上半期も7%成長となり、政府の通年目標と一致した。

エコノミストの間では、中国の経済指標の正確さについて懐疑的な見方が根強い。国家統計局は先週の発表を受け、統計は正しいと主張し、数字がかさ上げされているという疑惑を一蹴したが、疑念は払拭されていない。

統計が粉飾されていないにしても、最新の経済統計には決定的な弱さが覆い隠されている。それは、今年に入って実施された3度の利下げにもかかわらず、人民元上昇やぜい弱な住宅市場が足かせとなり、貿易や投資、鉱工業生産、小売売上高の伸びが依然としてさえないことだ。

中国国際経済交流中心(CCIEE)のシニアエコノミスト、王軍氏は「下半期の経済成長については、あまり楽観していない」と話す。

実際、サービスの成長を押し上げたのは金融セクターだったが、その金融は今や株価急落を受け失速が懸念される。つまり、今年の成長目標達成には、一段の政策緩和や支援策が必要だということになる。

<ぜい弱な安定>

確かに、中国政府が経済の力強さを過大に宣伝していると考えているアナリストからも、成長が安定しつつあるとの意見が聞かれる。

例えば、調査機関のキャピタル・エコノミクスは、中国の実際の成長率は(統計より)1─2%ポイント低いと指摘している。しかし一方で、発電量や住宅建設、港湾の取扱高、貨物・乗客数に持ち直しの兆候が見られるとし、中国経済が角を曲がりつつあると述べる。

そうした持ち直しの兆候は今後も持続するのか、中国経済全体を押し上げるのに十分な勢いがあるのか、という点には議論の余地がある。

中国上場企業の時価総額がピークから3分の1減った今回の株価急落の影響が今後どう出るのかは、これから明らかになるだろう。一部のアナリストは、政府が実施した株価支援策について、本来は企業に向かうはずだった資金が減り、実体経済の打撃となったと指摘している。

CCIEEエコノミストの王氏は「安定化は極めてぜい弱」とし「政策緩和という基本的なトーンは今後も続くだろう。政策を引き締めれば、今年の7%成長の達成は一段と厳しくなる」との見方を示した。

 

(Sue-Lin Wong記者、Kevin Yao記者 翻訳:吉川彩 編集:橋本俊樹)

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