町中華の「チャーラー」に人はなぜ魅せられるのか チャーハン、ラーメン、交互に食べて得られる幸せ
注文したのは、ハンバーグとエビフライ、サラダがワンプレートに盛られた定食。それらが冷凍食品なのはひと目見てわかったが、なぜかとてもおいしく感じた。その理由を分析してみると、ノスタルジーに浸っていたことが挙げられる。
それと理由はもう一つ。店のメインの客層である60代、70代のおばちゃんたちの話し声。その世代にありがちな孫の話や病気の話を名古屋弁丸出しで大きな声で喋っていて、それが何とも心地よかったのである。私が出張先で求めていた地元の人々の生活感はこれだと思った。
なかなかチャーハンやラーメンの話にならないが、もう少し付き合ってほしい。私が初めて一人で外食したのは小学校5年生くらいのとき。当時、両親は共働きで学校が午前中に終わる土曜日に帰宅すると、テーブルの上に500円札が置いてあった。「昼食はこれで何か食べなさい」ということだ。
今のようにコンビニやファストフード店があるわけではなく、私は近所のスーパーの敷地内にある中華料理店でよく食べていた。注文していたのは、鶏ガラスープの、いかにも町中華のラーメンや、チャーシューではなく、ふちの赤いハムが入ったチャーハン。どれもおいしかった。この経験がフードライターである筆者の原点かもしれない。
思い出の味を求めて、時間を見つけては地元の町中華に足を運んでチャーハンとラーメンのセットを食べるようになった。食材や調味料にこだわり抜いた今どきのラーメンにはない素朴な味わいに新鮮な感動を覚えたのと同時に、喫茶店で感じた地元の人々の生活感もそこにはあった。
以来、出張先でも町中華や老舗のラーメン店を訪ねてチャーハンとラーメンのセットを注文するようになった。その記録を「チャーラーの旅。」と題して、筆者の個人ブログ「永谷正樹、という仕事。」で2019年2月から発信している。
チャーラーは等身大の幸せ
チャーラーとは、読んで字のごとくチャーハンとラーメンのセットの略称である。地方によっては半チャンセットや半チャンラーメン、ラーチャンと呼ばれることもある。調べてみると、チャーラーは愛知県と岐阜県南部、三重県東部の東海エリア限定の呼称のようだ。東海エリア以外で暮らしている人は違和感を覚えるだろうが、どの呼称よりもわかりやすいと思っている。
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