あの赤字続きのアパレル大手は浮上できるか TSIの「プロ経営者」がV字回復計画を披露

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「ナノ・ユニバース」のルミネ新宿店。TSIホールディングの中で最大の売上高を誇るブランドだ

「ナノ・ユニバース」や「マーガレット・ハウエル」「パーリーゲイツ」「ステューシー」など、約40のブランドを展開するアパレル大手のTSIホールディングス(HD)。2011年6月に東京スタイルとサンエー・インターナショナルが経営統合した総合アパレルだ。

5月に就任した外資系企業出身の“プロ経営者”である齋藤匡司社長は、7月17日の決算説明会でV字回復の経営戦略を披露した。

「在任期間に株価を上げる」「社長としての最重要KPI(重要業績評価指標)は時価総額の最大化」「投資家に喜んでもらいたい」…。説明会では威勢のいい言葉が並んだ。日経平均株価の2倍の株価伸び率で「グッドジョブ」、3倍上昇で「グレートジョブ」と話す姿は、外資系企業を彷彿とさせる。

実際、株価上昇の根拠となる3カ年中期経営計画は非常に意欲的だ。最終年度の2017年度は、2014年度に9億円だった営業利益を約15倍の140億円、営業利益率を7%(前期0.5%)、ROE(自己資本利益率)を5%(同1.9%)へ引き上げるとしている。その通りに実現できれば、アパレル業界で屈指の高収益企業に躍り出る。

営業利益率5%は達成可能との見方

「絵に描いた餅にはしない」とする齋藤社長。ブランドの大量閉鎖で約200億円の売り上げ減になるが、昨年からの不採算事業の撤退などで営業利益が約35億円改善すると算段しており、「これに関しては確実だ」という。

さらに、商社を通して海外から仕入れている商品の直接貿易比率を現在の10%から30%に引き上げることで、商社に払うマージンを削減。10億円分の調達コスト圧縮が見込めるという。また、EC化率のアップにより、実店舗の販管費を約15億円削減する予定だ。

これらの施策だけで、売上高が横ばいとしても営業利益率5%は達成可能との見方だ。加えて、粗利率の2ポイントアップで30億円の改善、新店利益やM&Aの実施による上積みで営業利益率7%を目指す、という青写真を描く。

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