ユニクロの「決別」にクールビズの限界を見た 5月既存店売上高12%増の知られざる舞台裏
6月も第2週を迎え、これからいよいよ夏本番を迎えます。この時期よく目にするキーワードが「クールビズ」。環境省の旗振りの下で温室効果ガス削減を狙い、冷房時の室温を28℃にしても快適に過ごせる軽装を推奨する取り組みです。最近では、さらなる軽装の「スーパークールビズ」という概念も提唱されています。
2005年夏にスタートして丸10年。ファッション業界はこれまで例年クールビズ商戦を組んできています。ところが、今年はどうも様子が違います。あの日本最大のアパレル企業が、ひそかにクールビズへ「見切りをつけた」からです。柳井正会長兼社長率いるファーストリテイリング。言わずと知れたカジュアル衣料品店「ユニクロ」です。
ユニクロの5月の国内既存店売上高は、前年同月比12.3%増と絶好調でした。機能性下着「エアリズム」を中心とした夏物衣料の販売が伸び、客単価も20カ月連続で前年同月を上回りました。中でも月末の5月29日(金)~6月1日(月)に開催された夏の感謝祭は、過去最高水準の実績を残したようです。
柳井正会長兼社長が「決断」
その裏側には柳井会長兼社長の大きな「決断」がありました。
今年のユニクロはゴールデンウイーク(GW)に入った直後の4月29日(水)~5月1日(金)のセールで、チラシの2分の1を占めるスペースに掲載した商品に「クールビズ」と大々的に銘打って展開。夏を前にクールビズ需要が盛り上がるであろうと見た戦略です。そして続くGW明け5月8日(金)~14日(木)のセール向けのチラシにおいても4分の1のスペースを「スーパークールビズ特集」として打ち出しました。
ただ、実はこれがユニクロにとっては思ったほどの集客にはつながらなかったようです。売り上げ目標は未達。そこで5月18日(月)に、幹部会議を通じて柳井社長からこんな内容の通達がなされます。
「チラシのクールビズ特集は効果がない。タイトルやチラシの作り方自体もすべて変更してほしい」
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