ユニクロの「決別」にクールビズの限界を見た 5月既存店売上高12%増の知られざる舞台裏
冷静にとらえてみれば、クールビズ運動はビジネスウェア着用のシーンを基準にして取り組んだ、ビジネス寄りのものの考え方。かたや、ユニクロの始まりはカジュアルウェアです。そのカジュアルウェアの取り組みをもってここまで会社を大きくした経緯があり、原点に立ち返って商売を見直すというタイミングが今回だったのでしょう。
そうはいっても環境省によれば、今やクールビズの認知度は9割以上。それをあえて「使わない」と宣言した柳井会長兼社長の決断は相当なもの。関係者を震撼させるエポックメイキングな出来事ともいえます。
クールビズの新鮮味は薄れてしまった
柳井会長兼社長からは、あくまでお客目線に立った姿勢を感じます。役所の旗振りで始まったクールビズも、新鮮味は薄れてしまい、今やクールビズの文言を見ただけで夏物のビジネス衣料を新たに買い求めようというニーズが、どんどん減ってしまっていることを象徴しているようです。
結局のところ、消費者の心理としては、使い古された言葉は見過ごしてしまう景色のようなものであるということです。どのような言葉がぶら下がっているかではなく、目の前のチラシで、目の前のお店で、どのような商品が打ち出されているのかということのほうが重要だということでしょうか。
このことに、常に店頭でお客の様子を見ているアパレル最大手の社長が、他のどのアパレル企業の社長よりもいち早く気付き、勇気を持ってクールビズとの決別を実行したといえます。
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