ワールドが大量閉店、「再生請負人」に高い壁

アパレル名門、栄光の軌跡と失速後の展望

30周年を迎えた「タケオキクチ」は、上質化でテコ入れを図る(撮影:梅谷秀司)。

「タケオキクチ」や「アンタイトル」などのブランドを抱える、大手アパレルメーカーのワールドが、大規模リストラに踏み切る。4月に創業家以外で初めてトップに就いた上山健二社長は、2016年3月期中に、全店舗の約15%に当たる400~500店の閉鎖を発表。全体の1割強に相当する10~15ブランドも廃止する。

ワールドは2007年3月期、過去最高の営業利益213億円をたたき出し、順風満帆だった。が、2015年3月期(IFRS基準に変更)は、52億円にまで沈んだ(左図)。IFRS移行がなければ、のれん償却の約40億円分が、さらに利益を押し下げていたことになる。

同社の成長は1990年代に入って加速した。93年に国内でいち早く、商品企画から小売り販売まで手掛ける、SPA(製造小売業)へ転換。90年代後半からは主力の百貨店に加えて、建設ラッシュだった商業施設(SC)向けの販路開拓に力を入れた。

リーマンショックで状況が一変

状況が暗転したのは、2008年のリーマンショック以降だ。1世帯の「被服および履物」の支出額(1カ月当たり)は、2007年の1万2933円から、2014年には1万1983円へ減少(総務省家計調査)。消費増税もあり財布のヒモが固くなる中、ユニクロなど低価格が強みのファストファッションの台頭にも押されるようになる。富裕層や訪日外国人の消費は活発化したが、彼らの目当ては高級ブランドなど高額品。中価格帯中心のワールドに恩恵は届かない。

リーマン前までワールドの成長を牽引していたSCへの出店戦略も曲がり角を迎えた。開業初年度は盛況でも、2年目以降は不振に陥ることもしばしば。近隣に新しい店舗が建設されるなど、SC同士の競争も激化した。最高益を出した2007年3月期から出店を加速したが、皮肉にも不採算店を増やす結果となり、利益は急減していった。

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