そうした学校の位置づけは、「市町村」単位でも問題があると細川先生は考えます。細川先生の学校の地区は出生率の低下もあり、大幅に中学生が減少しました。しかし「同じ地区の公立高校の数に変化はありません。生徒が減るのに、学校の数は変わらないから地域で学生の奪い合いになってしまっています。募集が減った学校は『学校経営がうまくいってない』と言われるのです。本当に必要なのは生徒と学校の適切なマッチングだと思うのですが」と細川先生は吐露します。
生徒の親は誰とも話ができていない
こうした募集の変化、入学生徒数の変化には、社会全体の変化の影響もあるようでした。
「我が校で保護者対応をしていると『意思の疎通が難しい親御さん』も増えてきたと感じています。親御さんの苦情や相談を聞く機会も10年前より増えたのですが、話を聞いていると、親御さん自身が、誰ともお話できていないのではないかと。
世間で学校改革が進む中で、『効率化』の名のもとに、それまでやっていたクラス懇談会や保護者会をしなくなって、親御さん同士でつながらなくなったことが大きいかもしれません。何かトラブルがあって、クレームを入れた親御さんも、どういうことがあったのかを丁寧に聞いてみると、感情がおさまることも多いです。ストレスを発散する方法が、なくなってしまったためなのかなと思います」
教員不足、学生不足に加え、コミュニケーションの不足という問題も見られるようになった昨今の高等学校。情報が増え、便利になった現代において、議題に挙がりにくい「中堅校」の細川先生の切実な訴えからは、浮き彫りにされにくい問題が潜む中堅高校の「教育困難」な実情を垣間見ることができました。
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