公立高校の校長「現場と自治体の間」で揺れる苦悩 人手不足の中、問題行為起こした先生の対応も

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学校経営が難しい中で「体罰」「セクハラ」「情報漏洩」などの服務事故を起こす教員の対応をする必要が出てきており、細川先生はその一人です。

「服務事故を起こす人の指導・管理は、私たち(校長・副校長)が担います。そうした事故を起こしてしまった場合、服務事故を起こす人の指導・管理、再発防止のために研修を受け、当該教員に対して複数回の面談や指導をするようにしています。ただ完全に改善するのは困難です。

それに校長レベルでは自分の判断で簡単にクビにはできません。現状ではクビにすると裁判沙汰になるケースもあるため、問題を起こした先生を、学校側で継続して預かることになってしまっています」

問題行為を起こした先生の対応に苦慮

服務事故を起こした教員を学校に残すことは、「ほかの教員の負担が増える」ということを意味します。

「生徒のことを思うと教壇に立たせたり、指導をお願いすることはできません。でも、クビにすることもできないから、どのように扱えばよいのか日々頭を悩ませています。その先生の代わりに教壇に立って指導してくれる先生を探しますが、今度は新しい先生がが見つからない、見つかっても指導しなければならなく、負担感が増しています」

「うち以外のある(中堅)学校では、服務事故を起こした先生に出勤はしてもらうけれども、生徒に見えないところで別の部屋に入って、何らかの作業をしてもらうところもあるようです」と続ける細川先生。

どの中堅校でも対応に苦慮していますが、この状況が起きてしまっている要因は、公募のシステムにあるのでは、と細川先生は考えています。

「公募校では、各都道府県が重点的に施策を推進します。そのため、一定の上位層の学校や特色のある学校が公募校となるケースが多いです。そうなると、そのほかの学校では、それ以外の教員で人事配置をすることになるケースもあり、人材確保の際にすでに差が生じてしまいます。

人材育成を積極的にするようにと言われていますが、意識改革もそう簡単ではありません。ただ、その中でもやる気があって、頑張ろうとしてくれる教員もいるので、そういった方がわが校に入ってくれると心強く感じています」

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