園長先生たちとのよもやま話で「正規雇用の職員は若い保育士ばかりで、パート職員がベテランばかりっていう逆転現象になっていて、いろいろ難しいことがある」という苦労話も聞いたことがある。
保育士が就労継続できない、あるいはしない理由はこれだけではないが、保育士が経験を積んで資質を向上させ、保育の質を上げていけるような労働条件になっていないとすれば、これは深刻な問題である。
図2は、「令和4年度東京都保育士実態調査結果」にある調査結果で、現在就業中の保育士の雇用形態をグラフ化している。調査対象は、2017年4月から2022年3月までの東京都保育士登録者(書換え登録等を含む)である。
東京都は独自の保育士給与改善を行っており、都内自治体の職員配置は都外自治体よりも恵まれている傾向にあるが、それでも継続就労が困難な実態が見て取れる。
子育て期に正規職を退職してしまう傾向は、実は女性の就業者全体の傾向と一致しているのだが、専門職である保育士のキャリア形成、専門性の向上、保育の質の向上を考えると、この実態では心もとない。
働き方改革の出遅れ
ここまで見てきたように、保育園・保育制度は時代の流れに合わせて変化してきた。保育制度改革は、女性が出産後も働き続けることができる社会への変化を助けてきたことは確かだ。
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