それぞれに労働事情や通勤事情が異なるので比較は難しいが、どの国も日本のように遅い時間までの延長保育を実施していないということは確かなようだ。
延長保育の弊害
図1は「100都市保育力充実度チェック」(保育園を考える親の会)の各年度数値をグラフ化したものだ。
延長保育制度には、1時間延長、2時間延長、4時間延長などの種類があり、各園が地域のニーズに合わせて実施しているが、このグラフは、100の市区に認可保育園の延長保育実施率と平均延長時間(分数)を回答してもらい、全体を平均した数値の推移を表している。
1990年代からの延長保育の普及促進策が効いていることがわかる。2023年度での実施率は94.3パーセント、平均分数は84.4分になった。
1時間延長が多数派ではあるが、2時間延長、4時間延長の園もあり、平均時間は1時間30分に近い。標準開所が18時30分までの園が1時間延長をすれば、19時30分までの保育になるので、やはり前述の国々に比べると開所時間が長い。
そして、このような長時間保育は、保育士のローテーションを間延びさせる。そのため、保育士自身の仕事と子育ての両立が難しくなり、妊娠を機に仕事をやめてしまう保育士は相当な割合に上っている。
それだけではない。いったんやめた保育士が再就職する場合も、ローテーション勤務がある正規雇用を避けて、パートでの勤務を希望する人が多くなっているという実態がある。
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