しかし、変わらなければならないのは、保育園だけではなかったはずだ。女性の「内助の功」を前提とした男性の「滅私奉公的な働き方」が標準とされた昭和の時代の痕跡は、いまだ根深く社会に残っている。
もちろん、ワーク・ライフ・バランスや過労死防止が言われるようになり、日本人の働き方も少しずつ変わってきた。2022年のOECD統計ベースでの年間平均労働時間ランキングでは、日本は1607時間、長い方から44カ国中30位とまずまずの順位になっている。
ただし、厚生労働省の統計では、年間総実労働時間は減ってきているものの(図3)、パートタイム等の労働者を除いた一般労働者の年間総実労働時間の2021年の数値では1945時間にも上る(図4)。
つまり、年間平均労働時間の短縮はパート労働者の増加が大きく寄与しており、正社員の時短はそこまで進んでいないということになる。
長時間労働で仕事と子育ての両立は苦しく
保護者の働き方は、保育園の運営に直接影響を与えている。長時間労働慣習は、仕事と子育ての両立を苦しいものにする。
2020年に始まった新型コロナウイルスによるコロナ禍は、家庭の暮らしも大きく変化させた。私の周囲では、家族単位の行動が多かったためか、家族で過ごす時間を充実させようという親たちの意欲は高まったように見える。
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