中でも在宅勤務が広がったことは、働き方についての人々の意識を変化させた。もちろん、在宅勤務ができる職種とできない職種があるが、在宅勤務の普及はまちがいなく子育て支援として機能している。
「男女共同参画白書(令和5年版)」に、在宅勤務者とそれ以外の者の生活時間を比較した調査(2021年)の分析がある。それによれば、在宅勤務者はそれ以外の者より、1日の通勤時間が女性で平均54分短く、男性では69分短い。男性では仕事の時間も減少する傾向が見られた。
それらの短縮分と引き替えに何の時間が増えているかは性別や年齢によって大きく異なるが、35ー44歳の女性では子育ての時間が最も増えており(46分増)、自由時間も32分増えている。同年齢の男性では自由時間が43分増えており、子育ての時間も14分増えている。
この男女の差には相変わらずの性別役割分担が表れているが、総合して親が生活時間にゆとりをもてたり子育ての時間を確保できたりしたということだ。
在宅勤務が有効な子育て支援に
コロナ禍が収束するとともに在宅勤務をなくした企業もあるが、特に子育て期の社員についてはできるだけ在宅勤務を選べるようにすることで、効果的な子育て支援につながるはずだ。
これは、学童保育の不足に対しても有効な対策になる。そして、在宅勤務は保育も助ける。保護者は通勤時間がなくなった分、早くお迎えに行くことができる。
もちろん、医療職など交代制勤務が必須の職業のために、夜間保育などのニーズに保育園が応えることは今後も求められていくだろう。
しかし、昼間労働者の保育利用があと少し短くなり、父親も早く帰ってお迎えを分担するようになれば、全体の保育時間がコンパクトになり、ローテーションによる保育士の負担を減らすことができるのではないだろうか。
それは、保育の質の向上も助けるはずである。
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