"お利口な"子が多い保育施設に潜む「不適切保育」 「しつけ」や「指導」の意味を履き違えていないか

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保育園で食事をする男の子
子どもは保育施設でたくさんの出会いと体験をし、さまざまなことを身につけていきます(写真:yamasan / PIXTA)
暴力や激しい叱責など、保育施設において子どもの心身を脅かす「不適切」な行為が発生しています。いま保育の現場はどうなっているのでしょうか。長年、保育問題に取り組んできた「保育園を考える親の会」アドバイザー・普光院亜紀さんの新著『不適切保育はなぜ起こるのか──子どもが育つ場はいま』から一部を抜粋し、その背景を探ります。

「しつけ」「指導」という不適切保育

不適切保育が問題になった事例で、園長等が「しつけです」「指導の一環です」と答えることは少なくない。

そのような園では、集団生活をスムーズに運ぶためにはある程度厳しい「しつけ」「指導」が必要だと考えている。しかし、その「しつけ」「指導」が望ましい範囲を逸脱すれば、それは不適切な保育になる。

では、「望ましい範囲」の「しつけ」「指導」とはどのようなものか。「望ましくない範囲」との境目はどこにあるのか。

そもそも乳幼児期の「しつけ」「指導」とは、どういうことを目的としたどういう行為なのか、明確にしておく必要があるだろう。

家庭で子どもを虐待してしまった親が「しつけのつもりだった」と話すことがあるが、そんなときの「しつけ」は「大人(自分)に従わせること」と同義になってしまっている場合が多いように思う。

辞書の「しつけ」の項には「子どもに決まりや慣習、礼儀作法を教え込むこと」などと書かれているが、もう少し現代の子ども観や教育観に引き付けて、子どもの視点から定義するなら、「子どもが生活習慣や社会性を身につけられるように導くこと」などとするのが妥当ではないか。

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