管理職が「罰ゲーム」になった、もう1つの重大要因 本来不要な「リーダーシップの見えない重り」

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この「見えない重り」ついて、理解を助ける1つのエピソードを紹介させてください。

40代の前半で会社を辞めて独立し、今は経営者として活躍しているかつての同僚がいます。名前を仮にジョージさんとしましょう。

ジョージさんは、会社員時代、あまり評価されているとは言えませんでした。いや、周りから見れば正当に評価されていたとは思うのですが、彼が希望するマネージャーへの昇進はなかなかかないませんでした。

そんな状況に業を煮やしてなのか、もともとそういうキャリアプランだったのか。その真相はわかりませんが、ジョージさんはある日、わりと藪から棒に会社を辞め、自らインターネット関係の会社を立ち上げます。その後事業は順調のようで、先日も同社の大型資金調達を報じたニュースを、はからずも目にしたところでした。

独立して成功するような人は、会社員としても出世頭だったに違いない。直感的にはそう思いますが、実は必ずしもそういうわけでもないのです。

実際、スティーブ・ジョブズ氏やイーロン・マスク氏が、地方銀行の係長として課長とうまくやっている姿はなかなか想像できないでしょう。社長と係長は、同じ管理職でも、本来まったく性質の異なる仕事なのです。

リーダーは指導者、マネージャーは管理者

そこにあるのは、係長が「マネージャー」なのに対して、社長は「リーダー」であるという違いです。この「リーダー」という言葉は、日本語の文脈では5〜6人の小グループの長、といったイメージでしょう。

しかし、本来英語のリーダーとは、国や民族、信仰を同じとする人たちをリードする人を表す言葉です。会社で言えば社長か、対象を広げるとしてもせいぜい経営陣(リーダーシップ・チーム)ぐらいまでがリーダー、というイメージです。

要はリーダーとは「指導者」なのです。フォロワーが向かうべき方向を指し示し、そこにフォロワーを導く人です(誰かに何かを教える人、指導する人、という意味での指導者ではありません)。

それに対して、マネージャーは「管理者」です。管理者の仕事は、チームのアウトプットを最大にすることです。同じ材料と同じ数のアルバイトを与えられたとき、ハンバーガーを1日1000個作る管理者は、100個作る管理者よりマネージャーとして優れている、ということになります。

我々はハンバーガーではなくおにぎりを作るべきだ! などという大きな方向性・ビジョンを、現場のマネージャーが突然指し示したりしたら、チームは混乱するばかりでしょう。それはリーダー=経営陣の仕事なのです。

経営陣は「マネージメント」などとも呼ばれることもあるので少しややこしいのですが、これは株主(オーナー)の視点から経営陣を見たときの表現です。

お金を出して会社を設立した株主(オーナー)は、経営陣にその会社の管理を任せています。日々の運用はあなたたちに任せますから、しっかり管理してくださいね。株主はそんな思いを込めて、経営陣を「マネージメント」と呼んでいるわけです。

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