「newmo」CTOが考える「輝ける」場所の探し方 メルペイから「ライドシェア」へ軸足を移した訳

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曾川さんが自分のことを「FinTech専門のエンジニア」と位置付けていれば、ここまで思考は広がらなかったのではないだろうか。エンジニアとして関わる領域を限定していなかったからこそ、思考と共に、自身のキャリアの可能性も広げることができたのだろう。

曾川景介
(写真:桑原美樹)

「唯一の正解」にこだわらなくてもいい

自分のやりたいことよりも、社会に必要なことを。曾川さんは、そう考えるようになったもう一つの原体験について明かしてくれた。

「僕はもともと、スタートアップをやりたかった人間ではないんです。大学院ではスーパーコンピューターの研究をしていて、大学に残って研究を続けたいなと漠然と思っていました。

しかし、当時は政権が変わって日本の大型計算機の予算を削る方向に傾いていた時期。民主党政権による事業仕分けで、世界一の性能を持つスパコンの開発を目指す事業に対し、ある議員が『2位じゃダメなんですか?』と発言したのは、その流れを象徴する出来事でしたね」

自分たちのやっていることは、世の中に必要とされていないのかもしれない。

そのような悲観的な空気とは対照的に、曾川さんは楽観的だった。「どこかには自分を必要としてくれる場所もあるんじゃないか」と、自分のやりたいことができる場所を探したのだ。

曾川景介
(写真:桑原美樹)

「シリコンバレーに対する漠然とした憧憬があったのですが、未踏事業(※)を通じて運良く一緒にやる仲間も見つけられたこともあり、まずは一度現地に行ってみようと思ったんです。今振り返っても、非常に楽観的だったなと思います。

私は決して、最初からいろいろなものを持っていたわけではありません。むしろ何も持っていなかったからこそ、外からの刺激を受けながら道を見出し、生きていくことができました。自分の力を必要としてくれる人も、世界のどこかにはいるかもしれないと」

(※)IPAが主催する、ITを駆使して様々な事業を展開できる優秀な人材を発掘・育成することを目的としたプロジェクト

これまでも、そしてこれまでも「キャリアビジョン」を描くことはないと語る曾川さん。だからこそ、将来に悩み、不安を抱える若手エンジニアの気持ちが分かると言う。

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