松下、YKK、大震災 街の電器屋は逆境で育つ--ケーズホールディングス会長 加藤修一《上》

松下、YKK、大震災 街の電器屋は逆境で育つ--ケーズホールディングス会長 加藤修一《上》

自他共に認める「がんばらない」加藤修一は、残業をほとんどしない。午後6時ごろには会社を出て、飲みに繰り出す。

出張先でも神出鬼没だ。ケーズホールディングス傘下で、北海道・東北地域を担当するデンコードー社長の井上元延は、「あの人、ひどいんですよ」と笑う。会津若松店オープンのとき、井上があいさつを終えたら社員が飛んできた。「知らない人がすーっと入ってきて去っていったが、加藤社長かもしれない」。慌てて携帯に電話すると、加藤は「井上さんに悪いと思ったから帰った」と言う。

何を考えているのか、よくわからない。茨城県水戸市の本社からなら、東北は日帰り出張圏。だが加藤は、泊まりで温泉も楽しむ。「地場の飲み屋で行きつけになるのが楽しみ。そういえば、最近はあまりお店をのぞかないな」と、この調子だ。

仕事を楽しみ、無理してがんばらない。井上の頭には、加藤の言葉がしっかりと焼き付いている。買収されて間もないころ、「ケーズ流を理解するには、10年かかりますよ」と言われたのだ。今年で5年目になり、その意味が少しわかってきた気がする。「力の抜き方と入れ方、ケーズ流は奥が深い。まだ6割くらいしか徹底できてない」と考えている。

ケーズ流とは何か。加藤に言わせると、「できもしない目標に向かってムダな努力はしない。でも基本的なことは確実に実行する」。まるで禅問答だ。

ケーズ流は、理論武装するアナリストをも煙に巻く。「エコポイントの反動で、2012年3月期は増収増益になるはずがない」と決算説明会で質問されれば、「計画どおりに出店すれば、自然と増収増益になっちゃう」と切り返す。やり取りは平行線のままだ。

業界で断トツ1位のヤマダ電機の山田昇会長は、「がんばらないなんて、お客様に失礼だ」としばしばケーズを評する。それでも00年は家電量販店で10位にも入っていなかった会社が、昨年度は3位に浮上。じわじわと勢力を拡大している。

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