松下、YKK、大震災 街の電器屋は逆境で育つ--ケーズホールディングス会長 加藤修一《上》

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 だが価格交渉はシビアで、そこはヤマダと変わらない。郊外店だから都心で売れるモバイルPCやカメラ類は商品数を抑える反面、消耗品は充実させる。水戸本店は蛍光灯だけで450種類あり、業務用までそろえる徹底ぶりだ。

加藤に言わせると、「蛍光灯は今すぐ必要な商品。取り寄せになると、社員が注文書作成に時間を割くことになるし、入荷の電話をしても入手していたらゴミになる。置いたほうが効率もいいし喜ばれる。そういうのを体得したね、商売をしながら」とあっけらかん。

親切と同居する効率経営こそケーズ流。「急拡大せずにペースを守って成長したから、全社員にケーズ流が浸透している。他社がまねしようとしても、初めからからやり直す必要があるから無理」と胸を張る。

松下幸之助の経営に疑問を唱えた父の決断

急拡大などもってのほか、安定成長こそ加藤の自慢だ。「一度も売り上げが下がったことがないという親父の言葉を、自分も実行しただけ」と言うように、つねに父の姿を追いかけてきた。

父・加藤馨は、1947年に水戸市内にラジオ店を起業。2人兄弟の長男に生まれた加藤は自宅兼会社という環境で育った。まじめな商売が評判を呼んで実家は繁盛し、毎年のように増築を繰り返す。高校3年生のとき、「これで最後にするから」と父が母に頼み込む姿を見た。そして街の電器屋としては珍しい鉄筋3階建てのビルを建設。そんな父が誇らしかった。

当の加藤は、子どもの頃からマイペース。理科と数学は勉強しなくても得意だが、英語と国語はからきしダメ。「僕は嫌いだったら絶対に嫌い。漢字も英単語も10回書き取れば覚えるけど、なぜそんなことしないといけないの」。大学進学が決まっても、国語の評価が1なので卒業できない。教師の温情で漢字の書き取りを何百ページも行い、事なきを得たほどだった。

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