「雨水で作ったビール」飲んだ人が口々に言った事 都会の雨水はビールづくりに向いているのか

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雨は、降り始めこそ空気中の塵などといっしょに降りてくるので汚れているが、降りはじめて30分以上たつときれいになる。それを地面に落ちるまえにつかまえれば、水質はむしろ蒸留水に近い。

なぜって川の水や井戸水は流れながらいろいろな物質を溶かすけれど、雨の場合はそれがない。しかし、そうした長所に気づかれることは少ない。その一方で、「雨が降ると会社に行くのが憂鬱」「イベントが中止になってほんと雨むかつく」「洪水被害まで起こすので雨は怖い」などと短所ばかりが話題になる。

尾崎さんは、もっと雨水のよさを知ってもらいたい、もっと使ってもらいたい、飲んでもらいたいという思いで「雨水ビール」を構想し、のちにプロジェクトメンバーになる雨水市民の会の笹川みちるさんに相談したそうだ(笹川さんは記憶がないという)。けっして「ビールがたくさん飲みたい」という理由ではない。なぜなら尾崎さんは酒がまったく飲めないんだから。

乾杯イベントで雨水ビールの歩みを語る尾崎昻嗣さん(筆者撮影)

「雨友」が集まってプロジェクトに

プロジェクトは人だ。「10年間でいちばん苦労したのは仲間集め」だったと乾杯イベントで語った尾崎さん。長らく悶々とした時間を過ごしていたが、笹川さんの知り合いを中心に、2022年頃から「雨友(あめとも)」が集まりはじめ、動きが加速し始める。

2022年5月に東京都文京区のビルのテラスに雨水タンクとろ過装置を設置。屋上からの雨を集め、特殊な膜フィルターでろ過して不純物を取り除く。水道水と同様の水質検査をクリアした。

雨水タンクとろ過装置を設置するプロジェクトメンバー(写真提供:雨水ドリンクプロジェク ト)

それから「雨水バー」というイベントを、笹川さんを中心にひと月に1回程度開催。雨水炭酸水と雨氷を使ったハイボール、ウイスキーや焼酎の雨水割、雨湯ハーブティーや雨コーヒーなどを楽しみながら、雨友(雨水ファン)を増やしてきた。

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