Aさんご夫婦のようなケースでは、兄のBさんの対応は、次のいずれかになると思います。
①「遺産はいらない」と言う
②「遺産がほしい」と言う
「遺産分割協議書」への同意や実印の押印が必要になる
①のように、たとえ財産を放棄をしてもらえる場合であっても、相続手続きをするためにはBさんに印鑑証明書を用意してもらい、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)の結果を書いた「遺産分割協議書」という書類に実印を押してもらわなければなりません。
「遺産分割協議書」などの書類を揃えなければ、預貯金や不動産などの遺産に手を付けることができないからです。
「夫婦ふたりの財産」の相続手続きをするはずだったのに、残されたAさんの妻が義兄のBさんに連絡をとり、頭を下げて協力をお願いしなければならないのです。
結果的に、Aさん夫妻のケースでは②となりました。
夫の兄であるBさんは、法定相続分を主張してきたのです。
妻と兄が相続人である場合、兄の法定相続分は4分の1です。
夫婦で協力して築いてきた財産にもかかわらず、3000万円の4分の1、つまり750万円を夫の兄に渡すことになり、Aさんの妻の取り分は、2250万円となりました。
Aさんの死によって、貯蓄額が大幅に目減りしたAさんの妻。
老後の生活設計にも、大きな影響を与えることになりそうです。
(「準備不足だったAさん夫妻はどうすればよかったのか?」その答えは本稿の最後に記します)
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