感情を「制御できない」→「できる」に変える"技術" まずは自然と沸く気持ちを「客観視」すること

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

行動科学から見て、感情がなぜ大切なのかというと、「人は感情によって動機づけられ、行動すること」がわかっているからです。

たとえば、スポーツをがんばっている人が、苦しくても練習に打ち込めることの背後には、「勝って喜びたい」という感情があったりします。仕事やイベントで、前もって何かを準備をするのは、「何もしないでいては不安」だからだったりします。

私が、毎日「感情マーク」を描くことを勧めているのは、実は「次の行動」へ結びつけるためです。自分を肯定的に見て、さらに行動を磨けるようになるには、湧き上がる「感情」を否定も肯定もせず、あるがままに受け止めることが必要です。

そのために、「感情を観察する」習慣が役に立ちます。

「自分がどんな気持ちなのか」を記入し、なぜそんな感情になったのかを振り返ることが、よりよい行動につながっていくのです。

自分の「認知のクセ」を把握する

何かが起きたとき、感情が湧き上がるのが人間ですが、感情の元になっているのが「認知のクセ」です。認知とは、できごとに対する、自分の考え方や捉え方のことです。たとえば、

「人から『ありがとう、助かるよ』と言われると、とてもうれしくなり、この人はいい人だなと考える」

とすると、この「うれしい」が感情で、「ありがとうと言われると、相手をいい人と考える」が認知です。また、

「友達に無視されると悲しくなり、私は嫌われていると考える」

とすると、この「悲しい」が感情で、「無視されると、私は嫌われていると考える」が認知です。

『1日5分 書けば明日が変わる できたことノート』書影
『1日5分 書けば明日が変わる できたことノート』(クロスメディア・パブリッシング)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

人は過去の経験や性格に違いがあるので、正解・不正解はありません。すべてが正しく「ありのままの自分自身」なのです。

先ほど説明した、「毎日、感情マークを描く」という行動は、「自分の認知のパターン」を知ることにつながります。

いつも繰り返していると、「自分はどんなことが起きるとどんな捉え方をして、ポジティブな感情(うれしい・楽しい・よかった、など)になったり、ネガティブな感情(不安だ・悲しい・腹がたつ、など)になったりしているのか」というパターンがわかってきます。

このように、「自分の認知のパターン」を知ることで、短絡的な考えや行動にならずに、客観的に自分をコントロールすることができます。そうすることで、一時的な感情に振り回されず、豊かな気持ちで生きることができるようになるのです。

永谷 研一 行動科学専門家、発明家、株式会社ネットマン代表取締役社長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ながや けんいち / Kenichi Nagaya

長崎大学講師、情報コミュニケーション学会理事。1966年、静岡県沼津市生まれ。学校や企業にITを活用した教育サービスを提供するパイオニア。校務・学習支援システム「Cラーニング」で全国の教育現場のDX化を推進。行動変容を促進するITシステムを考案・開発し、日米で特許を取得。米国でその功績が高く評価を受け、O-1ビザ(卓越能力保持者ビザ)が認められる。行動科学や認知心理学をベースに、1万5000人の行動変容データを検証・分析し、目標達成メソッド「PDCFAサイクル」を開発。多くの学校や企業の人材育成に採用されている。4人の子の父。著書は『1日5分 書けば明日が変わる できたことノート』『科学的にラクして達成する技術』など。YouTube(永谷研一チャンネル)、note(永谷研一@できたことノート&手帳

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事