行動科学から見て、感情がなぜ大切なのかというと、「人は感情によって動機づけられ、行動すること」がわかっているからです。
たとえば、スポーツをがんばっている人が、苦しくても練習に打ち込めることの背後には、「勝って喜びたい」という感情があったりします。仕事やイベントで、前もって何かを準備をするのは、「何もしないでいては不安」だからだったりします。
私が、毎日「感情マーク」を描くことを勧めているのは、実は「次の行動」へ結びつけるためです。自分を肯定的に見て、さらに行動を磨けるようになるには、湧き上がる「感情」を否定も肯定もせず、あるがままに受け止めることが必要です。
そのために、「感情を観察する」習慣が役に立ちます。
「自分がどんな気持ちなのか」を記入し、なぜそんな感情になったのかを振り返ることが、よりよい行動につながっていくのです。
自分の「認知のクセ」を把握する
何かが起きたとき、感情が湧き上がるのが人間ですが、感情の元になっているのが「認知のクセ」です。認知とは、できごとに対する、自分の考え方や捉え方のことです。たとえば、
「人から『ありがとう、助かるよ』と言われると、とてもうれしくなり、この人はいい人だなと考える」
とすると、この「うれしい」が感情で、「ありがとうと言われると、相手をいい人と考える」が認知です。また、
「友達に無視されると悲しくなり、私は嫌われていると考える」
とすると、この「悲しい」が感情で、「無視されると、私は嫌われていると考える」が認知です。
人は過去の経験や性格に違いがあるので、正解・不正解はありません。すべてが正しく「ありのままの自分自身」なのです。
先ほど説明した、「毎日、感情マークを描く」という行動は、「自分の認知のパターン」を知ることにつながります。
いつも繰り返していると、「自分はどんなことが起きるとどんな捉え方をして、ポジティブな感情(うれしい・楽しい・よかった、など)になったり、ネガティブな感情(不安だ・悲しい・腹がたつ、など)になったりしているのか」というパターンがわかってきます。
このように、「自分の認知のパターン」を知ることで、短絡的な考えや行動にならずに、客観的に自分をコントロールすることができます。そうすることで、一時的な感情に振り回されず、豊かな気持ちで生きることができるようになるのです。
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