「かき氷も日本料理のうち」老舗店が追求する潔さ 四季折々の素材を生かして一年中楽しむものに

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シロップの柱になるのは、「糖度」「濃度」「粘度」「温度」。これら4つの「度数」を組み合わせて、削った氷の上でいちばんおいしくなるようにコントロールします。

糖度は、もちろん味を決めるためにいちばん必要なこと。濃度と粘度は味の輪郭を際立たせるのに必要で、味にパンチをもたせる役割があります。

またシロップは、夏は氷にしみ込んでいるほうがさっぱりしますし、冬なら氷の上にのっているほうがおいしく感じるのですが、これを調整するのも濃度と粘度です。

温度は文字どおりで、シロップのボトルは、冷やした氷水のなかに置いておくのがベスト。かつて市販のシロップを使っていたときは、温度しか調整できませんでした。

天然氷でシンプルなかき氷にこだわる

私がこの世界に入るきっかけとなったのは、天然氷との出会い。

初めて食べたその氷のおいしさと、当時はまだあまり語られることのなかった「地球温暖化」によって、何年かあとには採れなくなってしまうかもという不安感とのギャップ。

限りないポテンシャルがありながら、また同時に危機的な状況にもあるというその儚(はかな)さに当時の私は魅せられたのです。

なので、この天然氷でかき氷のお店を開くことになったとき、直感的に「市販のシロップをかけるのは違うな」という気がしました。

この氷にとって、いちばん正しいかたちってなんだろう。

自分なりに考えて考えてたどり着いた答えが、「いちごの氷なら、本物のいちごからシロップをつくったほうが正しいんじゃないか」ということでした。おいしいかき氷ではなく、氷にとって正しいかき氷。いまとなっては言いにくいことですが、出発点はそこでした。

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