だから日本の会社では「妊娠できない」! 「転職直後の妊娠」に踏み切った私の経緯

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働く女性にとってライフイベントはキャリアを考える上で大きな悩みの種。ともすると仕事と家庭はトレードオフになってしまいがちです。どうしたらライフイベントとキャリア形成が相反せずに、うまくおりあっていくのでしょうか。

妊娠を先伸ばしする女性たちの本音

私自身、実は前の会社にいたときは「しばらく2人目は先延ばし」と思っていました。1人目の育休を長めにとったので、職場復帰後、休んだのと同じ期間くらいは働いて報いなくては、という気持ちがありました。部署の人員が減ってしまい「妊娠してツワリが始まったら、とても仕事がまわらなくなる」と感じたときも、やはり2人目妊娠には踏み切れませんでした。

当時、周囲は「出産・産休取得を遠慮する必要はない」と言ってくれましたが、どんな言葉をかけてもらっても、その状況そのものが妊娠を「遠慮」させるわけです。私は結局、その後退職しましたが、その退職のタイミングも、部署の同僚にしわ寄せがいかないよう、自分が辞めた分の人員補充がされる年度替わりまで待つことになりました。

自分がいなくなった後の職場状況を想像して、ライフプランをずらす――。これは一種の「企業論理の内面化」であり、本来雇われている側がする必要のないことだと思います。でも、これまで様々な期待に応えてきた優等生や、仕事に対する意識、同僚に対する配慮が高い人ほど、同僚の仕事が明らかに増えることが見えていれば、妊娠をためらってしまうかもしれません。

育児休業などの制度がある程度整った2000年代以降に就職した世代を私は「育休世代」と呼んでいますが、それより少し上の世代にはそうやって先延ばしをしてきた人も多いと思います。その結果、不妊治療に経済的・身体的・心理的負担を割いている人もいるかもしれません。立て続けに2人目、3人目を産む後輩女性を快く産休に送り出せない人もいるかもしれません。

育休世代でも、中小企業や女性が多い職場では、産休・育休が重なるとチームが回らなくなるので妊娠・出産・産休の「順番待ち」をしている話も聞きます。日本の少子化の大きな理由は未婚化・晩婚化ではありますが、こうして「産みたくても産めない」人たちがいるのも事実です。

どうして妊娠・出産はこんなにも女性と周囲に負担感をもたらしてしまうのでしょうか。2つ大きな要因があると思います。1つは、正社員で続けようと思ったら休むか週5日働くか、マミートラックか残業までフルでするか…のように、0か100かの極端な選択肢しかないように見えること。2つ目は、まだまだ女性に育児負担が偏っていることです。

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