「最初はテレビを見た知り合いから反応があって。「(子連れ出勤しない周囲の)社員が迷惑そうだね」といった誤解した感想があり、これはきちんと言わないとまずいなと。それで、実際は楽しんでいたし、本当は違うんですよということを伝えたら、シェアがどんどん広がっていった」と浅井社長は振り返る。
「僕らとしては、女性にかぎらず子どもを育てながら働き続けるうえで効果的な取り組みだと思っていました。それなのに、ネガティブな面ばかりが取り上げられると、導入しようという会社が減るんじゃないかと――」
アールストアは、おしゃれな賃貸物件を得意とする“不動産のセレクトショップ”。役員含む27人の社員のうち、男性は10人弱と女性が多い組織である。浅井社長によると、女性が多いのは「女性に物件を案内してほしい」というユーザーの要望に応えてきたからだという。
「客層は男女比半々で、単身とカップルが7対3の割合。単身女性の場合、内覧の際に知らない男性と1対1になるのを避けたいというのもあるし、カップルも主導権を握っているのは女性。いろいろ考えると、女性がさらっと案内してくれるほうがユーザーにとってストレスがない」
そもそも、シフトを組む意味ってなんだ
一般的に、土日に営業活動を行うサービス業は女性が働き続けるのが難しいとされており、不動産業界も例外ではない。しかし、アールストアは“ある英断”によって、働きやすい職場に転換することができた。それは、シフト勤務をやめ、自分で休みを決められるようにしたことだった。
以前は土日の勤務をシフトでまわし、業界の慣例どおり水曜を定休日にしていたという。しかし、約4年前のことだった。
「『日曜の午前中は子どもの預け先がなくて困る』『シフトで土曜が休みだが、担当しているお客さんは土曜の内覧希望が多い。どうしたらいい』といった相談が続いたんです。そのときに、そもそもシフトを組む意味ってなんだろうと考えると、どこの会社もそうしているから取り入れている程度のことにすぎないと気づいたんです。そこで、休日は自分の都合で取れるように変えました。0.5日単位も可能に。直感的に、そのほうが生産性も向上すると思いました」
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