元テレビ記者が「ひとり出版社」を立ち上げた

大人の心をつかんで離さない絵本を刊行

東京・青山の山陽堂書店に並ぶ「小さい書房」の絵本。就職活動中の学生や仕事帰りの女性が手に取って読んでいるという
「何が大切かは、自分で決める。」
「考えない、行動しない、という罪」
「本当は奪われているのかもしれない、と僕は思う。」

 

これらはいずれも、絵本の帯に記された言葉だ。ドキッとするような、つい手に取ってしまうような、絵本なのに絵本らしからぬ考えさせられる言葉……。絵本といえば子ども向け、とはかぎらない。子どもと一緒に、または、大人だからこそ楽しめる”絵のある本”が人気だという。

3冊の絵本は『青のない国』『二番目の悪者』『歩くはやさで』。出版元は「小さい書房」という出版社だ。

学生や仕事帰りの女性も手に取る絵本

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ワイングラスを手にした金のライオンと、鮮やかな赤い背景が表紙に描かれた『二番目の悪者』は、2014年11月に出版された。自分こそは王にふさわしいと思っていた金のライオンは、心優しい銀のライオンが王様候補に挙がっていることを知っていやらしいことを始める。金のライオンの作り話が口コミで広がり、メールで転送され、いつの間にか「本当のこと」として知れわたり……。

「これがすべて作り話だと言い切れるだろうか」で始まる物語を書いたのは、「詩のボクシング」での優勝経験もある詩人で絵本作家の林木林(はやし・きりん)さん。登場する動物たちの目を印象的に描いているのは、雑誌の表紙や装画も手がけているイラストレーターの庄野ナホコさんだ。

次ページ「自分は大丈夫か、ハッとさせられる言葉があった」
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