「海水温上昇」で日本の周りだけ魚が獲れないなぜ 世界では水産業が成長産業になっている現実
さらに2022年と2021年の比較でも、ほぼ全魚種が減っていることが表からわかります。これに2023年を比較したら、そのまたさらに減少しているのは、2022年より全体として減っているので、言うまでもありません。なお、マイワシは環境要因で大きく変動します。今後起こり得るマイワシの資源減少が始まったら、一体どうなってしまうのでしょうか?
ところが、こういった生産量が減り続けている全体の問題が、マスコミで扱われることはほとんどありません。サンマが、サケが、スルメイカが、サバが、イカナゴが……といった個別の報道では全体像がわかりません。
また、すでに大きく水揚げ量が減っている前年より少しでも増えると、前年比何割増、何倍といった報道になるので、時にはまるで回復したような錯覚を覚えさせられてしまいます。
まだ効果がある水産資源管理が適用されていないので、残念ながら、悪くなっても中長期的によくなることはありません。次のグラフ(水産白書)は日本の漁業・養殖業の生産量が減り続けていることを示しています。
世界全体と比較してわかる明確な違い
次のグラフは世界全体の漁業・養殖業生産量を示しています。減り続ける日本とは対照的に増加が続いています。青の海面漁業が横ばいなのに対して、ピンクと緑の養殖量が増加していることがわかります。水産物の供給のためには養殖業は不可欠です。
なお青の海面漁業は横ばいで推移していますが、これは魚がこれ以上獲れないので伸びていないということではありません。北欧・北米・オセアニアをはじめ、科学的根拠に基づく資源管理の重要性に気づいている国々は、実際には単年、もしくは数年間は大幅に漁獲を増やすことができることがわかっています。しかしながら資源の持続性を考えて大幅に漁獲を制限しているのです。
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