湖畔から山の斜面を見つめると、岩山の途中に小さな建物とタルチョがはためいている。
それから、2人で崖道を登った。ナコ村は標高3662メートルに位置しているので、わずかな斜面でも歩くと息があがる。
高台からナコの人々を見守る修道院
しかし、山ガールのカナさんは、相変わらず余裕な足取りで淡々と登っている。
途中、彼女が高山の岩峰に根を下ろす珍しい植物の写真を撮っている間に、なんとか追いつくことができた。
山の上にあった建物はチベットゴンパ(修道院)だった。それはナコゴンパと呼ばれる11世紀に建立されたこの辺りの仏教徒たちの聖地。木と石を使った建築様式で造られ、山の上からナコの人々を見守っているようにも感じられた。
「君たち、どこの国の人?」
小豆色の袈裟をまとった、40代くらいの優しげな顔をしたメガネをかけた僧侶が話しかけてきた。英語は少々ぎこちなかったが、コミュニケーションをとるには問題ない。
「日本人です」
「そんな遠い国から、お越しくださったとは。ありがたい」
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