子を亡くした女性にブッダが"冷たく"接した理由 「諦める」は、仏教では「明らかに見極める」

真理を理解するには実体験が必要
古舘:釈迦の仏教は神を想定していないから「信じる、信じない」ではなく、この世の真理にふれさせていただいているということですね。
佐々木:ですから私は仏教に対して「信仰」という言葉は使いません。いつも「信頼」と言っています。釈迦の存在のすべてを無条件に崇めるのではなく、釈迦が教えてくれた方法に従えば自分を変えることができる、ということを信頼するのが仏教を信じるということなのです。
古舘:苦行を6年も続けて失敗したうえで、ようやくこの真理にたどりついた。天才でも6年ですよ。
佐々木:釈迦が苦行をやってみて失敗したというエピソードは、とても重要です。もし苦行を経験せずに悟ったとなると、「それなら瞑想ではなく、苦行で悟るという道もあるんじゃないの?」という疑問が残ってしまいます。「やってみたけどダメだった」という経験があったからこそ、苦行では本当の安楽は得られないと釈迦は確信したのです。