「日本の仏教」と「釈迦本来の教え」の決定的な違い 日本では「大乗仏教」に形を変えて広まった
一言で「仏教」と言っても、日本で浸透しているのは釈迦本来の教えではなく、教義を変えた「大乗仏教」である。では、なぜ日本では大乗仏教が一般的になったのか? 40代で仏教に目覚めた古舘伊知郎氏と、釈迦仏教の第一人者・佐々木閑氏との対話を通じて考える。
※本稿は、古舘伊知郎・佐々木閑著『人生後半、そろそろ仏教にふれよう』より一部を抜粋・編集したものです。
釈迦は「教えが滅びるだろう」と考えていた
古館:釈迦はサンガに入って修行することを説き、諸行無常だから集団の中で教えが変遷していくことも認めていた。それでも釈迦自身が発見した縁起は真理だから変わらない。
けれども、真理以外の物事はすべて移りゆくから、仏教も変わっていくだろうと考えるのは自然ですよね。だから仏教には変化を受け入れる土台があり、その流れの中に大乗仏教が芽生えるきっかけがあるように思うのですが、この解釈は間違いではないですか。
佐々木:難しいところだと思います。釈迦本人の視点に立ってみれば、自分の教えが将来変化することは予想していなかったはずです。変わっていくのではなく、自分の教えを信奉する人が次第に減っていって、いずれ仏教が滅びる時代(仏滅)が訪れると考えていたのではないでしょうか。「教えが変わるだろう」ではなく「教えが滅びるだろう」と考えていたはずです。
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