保護司殺人に「あり得ない」25年活動した女性の声 担い手不足の現実と「信じてあげる役割」の尊さ
「出所してきた人が就職に困ったら、うちで引き受けるよ」。
Aさんが保護司をやってきて、最もうれしい思いをした瞬間だったという。
非行少年「保護司、殴りたいこともあった」
お世話になる側は保護司のことをどう受け止めているのか。
17歳で事件を起こし、少年院に入り、仮退院後に保護司との支援を20歳になるまで受けたという30代の男性が取材に応じた。
男性は暴行や窃盗などで3回逮捕され、最終的に1〜2年の長期少年院への送致となった。この間、少年には3人の保護司がついた。
「何もしない保護司もいた。ただ淡々と話を聞くだけ。地元では”当たり”と言われて、ファミレスでご飯を奢ってくれるだけのおじいちゃんでした」と打ち明ける。
うるさく説教される面倒くささがないことが「当たり」なのだという。
少年院からの出院後、少年の担当となった保護司はこれまでと違った。
人として間違っている考えなどはとことん指摘されるものの、あれもこれもと全否定は決してせず、常に味方でいてくれたという。頼りにしていた一方で、不安定な気持ちのぶつけ先でもあった。
「当時の私は、親も含め全てが敵だと思っていました。親とはたびたびけんかになり、その態度を保護司さんに注意されていました。カッとなって保護司さんを殴ったろかなと思ったこともありますよ。
少年院で暗記させられた出院後の遵守事項を思い出して踏みとどまりましたけど」
そして今はこう考えている。
「あのとき、本当に親身になってくれる保護司さんと出会えて、私は今を送れています。『これからは自分次第。自分を大切にね』と口酸っぱく言ってくれた。
どんなことがあっても、塀の中にはもう二度と行かないように頑張ってみようと思う」
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