保護司殺人に「あり得ない」25年活動した女性の声 担い手不足の現実と「信じてあげる役割」の尊さ
裁判所内には入れなかったが、調査官と電話で話すことができた。少年が保護観察中に地域のボランティア活動に積極参加していることなどを話し、少年院に入れる必要がないと訴えた。
審判の結果、少年院送致とはならず、少年には再び保護観察に加え、1週間のボランティア活動の審判が下された。
「少年の場合は大人、成人の場合は世間に対して不信感を抱いている。彼らを信じて行動しなければ、どんどん孤立してしまう。彼らは崖っぷちにいるから。あと一歩でどん底に落ちてしまうから。
どんな状況でも、彼らを信じてあげることが保護司の役割なの」
思わぬ電話が生きがい
定年まで長く続けてこられたのは、生きがいを感じてきたからだという。
服役囚や少年たちとの接点は出所後だけではない。少年院では保護者のほか保護司のみ、手紙での連絡が許されており、在院時から連絡を取り合うことがある。
保護観察期間が終わった後も近況をしらせてくる元受刑者は意外に多い。Aさんの場合、今も電話、メールでのやりとりがあるという。
また、保護観察は原則、保護観察者が住んでいる居住地の地区を担当している保護司が担当するため、道中で出会うこともしばしばある。
「元気そうな姿を近所のスーパーで見かけると嬉しい。ああ、ちゃんと頑張っているんだなって」
出所後、建設現場での下積みを経て事業を起こした人もいる。数十人ほどの従業員を抱える建設会社の社長だ。
その社長から思いがけぬ電話を受けたことがある。