買収や提携にも躊躇せず抗がん剤を第3の柱に--畑中好彦・アステラス製薬社長
──とはいうものの、がん領域ではスイスのロシュやノバルティスなど外資系企業が大きくリードしています。はたしてキャッチアップできる見通しはありますか。
現時点では、市場に出ている製品は2品目にとどまるが、遠くないうちに日本で前立腺がん治療薬デガレリクスが承認される。14年度ごろには、チボザニブなど現在、開発後期段階の新薬がいくつか発売できる。売り上げへの本格的な貢献は15年度あたりからで、同年度に始まる次期中期経営計画期間には、抗がん剤ビジネスが当社を支える主柱になっていることは容易に想像がつく。
また、効果が期待できる患者さんを見分けるために、早期の段階から診断薬企業と連携して、新薬開発を進めてきている。
アステラスグループには、重点疾患領域ごとに「STAR(Strategy Team for Therapeutic Area Reinforcement」という名の、研究、開発、技術、マーケティング分野におけるベスト人材を集めたバーチャルな組織があり、国をまたいで新薬の研究開発や製品化に取り組んでいる。現在、STARは八つあり、8月の初めには私や米国人の開発部門責任者も出席して、進捗状況をレビューする場を持った。こうした取り組みによって、近年、開発のスピードが加速している。
ジェネリックは手掛けず新興国も新薬で開拓
──初期段階にいくつかの候補品があるものの、自社創薬のラインナップは物足りない印象を受けます。
今まで自社創薬にこだわりすぎていたために、かえって研究活動の生産性を阻害していたきらいがあった。そこで、重点疾患の絞り込みをする一方、研究本部では現在、大学や業界他社との「オープンイノベーション」を積極的に進めている。