買収や提携にも躊躇せず抗がん剤を第3の柱に--畑中好彦・アステラス製薬社長

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

新薬候補充実へ買収戦略 大学や他社との連携も

──がん領域は製薬企業にとって、難攻不落の領域です。莫大な資金を投じて第3の柱に据えようとする理由はどこにありますか。

GCLは将来にわたって持続可能なビジネスモデルでなければならないと考えた。その際、アンメット・メディカル・ニーズ(治療ニーズの未充足)が高いがん領域を避けて通ることはできない。しかし、合併前の旧山之内製薬、旧藤沢薬品工業時代の研究開発費の水準では、単独でがん領域に打って出るだけの余力がなかった。それが、アステラス製薬の発足により、多大な投資をして戦えるベースができた。

──その道具立てが、抗体医薬開発ベンチャーの米アジェンシス社や、40億ドルを投じた米OSI社の買収だったというわけですね。

OSI社の買収によって、米国では分子標的薬タルセバのビジネスを手に入れた。タルセバが加わったことで、従来、当社が欧州で販売してきた前立腺がん治療薬エリガードとともに、がん領域でも一定の売り上げを確保できるようになった。

もう一つの取り組みとしては、開発後期段階にある新薬候補品の充実がある。過去2年の間に、前立腺がん治療薬MDV3100や腎細胞がん治療薬チボザニブ、急性骨髄性白血病治療薬AC220といった、製品化の確率が高い後期開発品目の導入を進めてきた。まだアーリーフェーズ(初期段階)ではあるが、茨城県つくば市にある自社の研究所からも新薬候補がいくつか出てきた。アジェンシスやOSIもいくつもの新薬候補を持っている。こうした開発の進捗によって、抗がん剤でもやっていけるベースが整ってきた。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事