ハワイ追い抜く「沖縄」観光地モラル低下のヤバさ サンゴの踏みつけなど生態系への影響も問題に
実証実験では、真栄田岬公園駐車場や海域の混雑状況を改善するため、利用時間を1人(1隻)あたり100分とし、同一時間帯の海域利用者数を200人に制限した。
また、損傷しやすい種類のサンゴ礁が生息する一部区域を「進入禁止区域」に設定し、隣接地域との比較分析も行うことを目的とした。
2022年3月には、約200ページに及ぶ報告書が公開されているが、その内容は、極めて示唆に富むものである。
たとえば、実証実験では、海域の利用届の提出を求めたが、利用登録に協力しなかった事業者(ショップ)が半数以上あり、「税務署へ報告するのか」といった発言や、実証実験を行う職員を恫喝する事案も発生するなど、事業者のモラルが低いことが指摘されている。
そのほか、領収書を発行しない、案内人数の虚偽報告、迷惑行為を行う、占有行為を行う、サンゴ保全に対する意識の低さ、安全管理がなされていないなど、オーバーツーリズム以前の問題とも思われる事業者が多数存在することが指摘されている。
こうした悪質な事業者を排除できないのが、沖縄の現状である。
実は真栄田岬周辺は、「沖縄海岸国定公園」という自然保護区に指定されており、特に環境保全や質の高い観光利用が求められる地域である。
国際的にみると、実証実験で策定された内容(利用届の提出、時間あたり利用人数や進入禁止区域の設定など)は、自然保護区では、極めて一般的な措置であるが、これすら実装することが難しい状況にある。
ハワイであれば、すぐに対策が採られるだろうが、日本では拘束力に乏しい実証実験や自主ルール、自粛要請を繰り返すことでお茶を濁すきらいがある。その間に、地域住民が迷惑し、自然が壊され、事故が起こり、観光客が遠ざかっていく……という負のスパイラルが繰り返される。
これでは観光立国どころではない。
オーバーツーリズム・スポットの多さ
沖縄県が日本の他地域と特に異なるのは、真栄田岬のようなオーバーツーリズムの問題を抱えているスポットがいくつも存在する点である。
2012年に沖縄県が行った「早急に環境保全が必要なサイト」に関するアンケート調査では、真栄田岬に加えて、慶良間諸島、ター滝、ピナイサーラの滝、辺野古沖、八重干瀬(やびじ)、宮城海岸、米原海岸などの名前があがっている。
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