ハワイ追い抜く「沖縄」観光地モラル低下のヤバさ サンゴの踏みつけなど生態系への影響も問題に
沖縄県はハワイをライバル視しており、ハワイの観光客数である1000万人の観光客を目標としてきた。2017年に初めて939万人とハワイ州の観光客(2017年に938万人)を追い抜き、2019年には、沖縄県が1016万人、ハワイ州が1028万人と肉薄した状況が続いている。
ただし、観光客の平均消費額や滞在日数では、沖縄はハワイに遠く及ばない状況である。
おおまかに言えば、観光客の平均消費額がハワイの3分の1、滞在日数が2分の1である。その大きな要因が、観光戦略の違いにある。誤解を恐れずにいえば、沖縄は観光客の「数」に注力する開発途上国型のモデルを追い、ハワイは環境保全型の「質」に注力する観光に大きくシフトしようとしている。
たとえば、沖縄県恩納村にある真栄田岬には「青の洞窟」と呼ばれるシュノーケリング・ダイビングスポットが存在する。
2000年代初頭には、「知る人ぞ知る」場所だったが、「青の洞窟」とネーミングされ、観光ツアーとして販売されるや否や、爆発的な人気となり、現在では、慢性的な混雑の様相を呈している。
真栄田岬には、海から船でアプローチするコースと、岬の公営駐車場から階段を下りて海に入るコースがある。駐車場は180台収容できるが、繁忙期にはすぐに満車となり、1時間程度の駐車待ちが発生することも多い。
無店舗型のシュノーケリングショップなどが、駐車場にワゴンを置きっぱなしにして営業しているケースがあるためである。
この恒常的な混雑により、近隣集落内で違法駐車が相次ぎ、地域住民から状況の改善を求める声が出ている。真栄田岬には、1日最大で7000人が訪れることもあるため、サンゴの踏みつけなどの生態系への影響も問題視されている(「琉球新報」2021年10月22日)。
また、コロナ前はインバウンド観光客の増加に伴い、中国人を対象とした法人登録をしていないと思われる事業者も多く見られ、苦情を言おうにも言葉が通じなかったり、マナー違反が目に余るといった状況が存在した。
成田空港の白タク問題もしかり、中国人観光客にとっては、中国語で案内されるほうが便利で快適なことは間違いないが、日本の関連法規に従っていないと思われるケースが散見され、喫緊の対策が必要である。
事業者のモラルの低さも課題
真栄田岬では、違法駐車やサンゴ礁の劣化といった問題を受けて、2021年に初の「実証実験」が行われた。
これは内閣府沖縄総合事務局が主導したもので、2021年11月8日から12月6日の約1カ月間、海域に入場するマリンレジャー事業者や一般利用者は、施設管理会社に届出を提出する、というものである。
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