芸人を開花させる「脱力タイムズ」の凄い作られ方 制作陣が語る「誰も見たことがない笑い」の裏側
自分たちが追求する笑いをマニア向けにとどめるのではなく、どうやってマスに届けようとしているのだろうか。
「こちらのほうが面白いと思うものをひたすら提供し続けること、でしょうか。滝沢カレンさんのコーナーが当たったり、番組の雰囲気が出てきたり、めったにテレビに出ない有名な俳優さんが『脱力』の世界観でふざけていたり、そうしたことの積み重ねが数字につながっていったのかなと思います」(カツオ氏)
テレビである以上、視聴率を取ることは大前提、とラリータ氏も続ける。
「簡単ではないですが、最大公約数にできるだけ近づける努力をしないと、『これは僕らがやりたいことだから見てもらわなくてもいい』となったら終わりなんです。『脱力』は日本一視聴率を取るためにやってます。例えば電車に乗っている時に隣でTVerで『脱力』を見ている人がいると、本当に『ありがとう!』と嬉しくて抱きしめたくなるんです。視聴者の皆さんに感謝しつつ、『今回は何をやるんだろう』とワクワクする放送を心がけて、これからも芸人さんやゲスト俳優さんの魅力を出していきたいなと思います」(ラリータ氏)
最後に、素朴な疑問をぶつけてみた。そもそもなぜ『全力!脱力タイムズ』という番組名なのか、ずっと気になっていた。
脱力はもともと、世界各国の脱力してしまうニュースを解説者が徹底解説していくというコンセプトだが、「全力」というのはいったい何に対して? そう聞くと、ラリータ氏はこう教えてくれた。
「『脱力』はそのまま、ドキュメント+コントを主体にした設定を示していて、『全力』はアドリブで対応するゲスト芸人、対応する出演者、スタッフの姿勢を表しています」
名は体を表す。『脱力』は、全力と脱力という、ある意味、二律背反する要素で成り立っているのだ。リアルとフィクションが混在する“ズレ感のある世界感”がもたらす「誰も見たことがない笑い」の不協和音。それに我々はこれからも翻弄されることだろう。
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