芸人を開花させる「脱力タイムズ」の凄い作られ方 制作陣が語る「誰も見たことがない笑い」の裏側

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自分たちが追求する笑いをマニア向けにとどめるのではなく、どうやってマスに届けようとしているのだろうか。

「こちらのほうが面白いと思うものをひたすら提供し続けること、でしょうか。滝沢カレンさんのコーナーが当たったり、番組の雰囲気が出てきたり、めったにテレビに出ない有名な俳優さんが『脱力』の世界観でふざけていたり、そうしたことの積み重ねが数字につながっていったのかなと思います」(カツオ氏)

テレビである以上、視聴率を取ることは大前提、とラリータ氏も続ける。

「簡単ではないですが、最大公約数にできるだけ近づける努力をしないと、『これは僕らがやりたいことだから見てもらわなくてもいい』となったら終わりなんです。『脱力』は日本一視聴率を取るためにやってます。例えば電車に乗っている時に隣でTVerで『脱力』を見ている人がいると、本当に『ありがとう!』と嬉しくて抱きしめたくなるんです。視聴者の皆さんに感謝しつつ、『今回は何をやるんだろう』とワクワクする放送を心がけて、これからも芸人さんやゲスト俳優さんの魅力を出していきたいなと思います」(ラリータ氏)

最後に、素朴な疑問をぶつけてみた。そもそもなぜ『全力!脱力タイムズ』という番組名なのか、ずっと気になっていた。

脱力はもともと、世界各国の脱力してしまうニュースを解説者が徹底解説していくというコンセプトだが、「全力」というのはいったい何に対して? そう聞くと、ラリータ氏はこう教えてくれた。

「『脱力』はそのまま、ドキュメント+コントを主体にした設定を示していて、『全力』はアドリブで対応するゲスト芸人、対応する出演者、スタッフの姿勢を表しています」

名は体を表す。『脱力』は、全力と脱力という、ある意味、二律背反する要素で成り立っているのだ。リアルとフィクションが混在する“ズレ感のある世界感”がもたらす「誰も見たことがない笑い」の不協和音。それに我々はこれからも翻弄されることだろう。

この記事の前編はこちら:どこまでドッキリ?「全力!脱力タイムズ」の裏側
名城ラリータ:テレビディレクター。1976年沖縄県生まれ。日本大学芸術学部卒業後、2000年にフジクリエイティブコーポレーション入社。過去に『笑っていいとも!』『SMAP×SMAP』『ココリコミラクルタイプ』『OV監督』など人気番組を経て、現在は『全力!脱力タイムズ』『千鳥のクセスゴ!』(フジテレビ)『有田哲平の引退TV』(ABEMA)などを担当している。
寺田智和:放送作家。1977年千葉県生まれ。中央大学理工学部在学中から(株)ライターズ・オフィスに所属。過去『リンカーン』『ひみつの嵐ちゃん』などの番組に携わり、現在は『バナナサンド』『ラヴィット』『ジョブチューン』(TBS)『全力!脱力タイムズ』『ミライモンスター』(フジテレビ)『プレバト』『日曜日の初耳学』(MBS)などを担当している。
カツオ:放送作家。1980年、東京都荒川区生まれ。2000年、早稲田大学在学中に、劇団「盗難アジア」を旗揚げ。2005年まで、劇団主宰・俳優としても活動。2001年に演劇活動と並行して、放送作家の活動も始め、現在に至る。過去、年間600本の企画書を書いた実績もあり、自称・企画書渋滞系放送作家。現在は『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)、『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)、『有吉ぃぃeeeee!』(テレビ東京系)などのレギュラー番組・SNS映像コンテンツを担当。またバスケットにも精通し、バスケ系SNS等にも参加。
ジャスト日本 ライター

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じゃすとにほん / Just Nihon

ライター、プロレス考察家。1980年福岡県出身、和歌山県在住。プロレスからビジネスジャンルまで、幅広く執筆活動を展開。現在アメブロで「ジャスト日本のプロレス考察日誌」を更新中。 著書に「俺達が愛するプロレスラー劇場 Vol.1」(ごきげんビジネス出版)「インディペンデント・ブルース」「プロレス喧嘩マッチ伝説」(いずれも彩図社)ほか多数。

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