なぜここにきて、ポルトガルの缶詰に熱視線が集まり、ブームになっているのか。世界100カ国以上の現地在住日本人ライターの集まり「海外書き人クラブ」の会員が、その謎に迫ります。
「パッケージ」がとにかくかわいい!
古くからあるイワシ缶。そのパッケージはよく言えば伝統的ですが、別の言い方をすれば、ありふれていて古臭いものでした。
ところが、そのレトロさが若者には逆に魅力に映るよう。かわいいスイーツやドリンクに匹敵する華やかさで、情報サイトやSNSで取り上げられています。
例えば、リスボンで1930年に創業した老舗缶詰店「コンセルヴェイラ・デ・リズボア」の包装紙は、そのレトロさがかえって新鮮に。一方、「ザ・ファンタスティック・ワールド・オブ・ポルトギーズ・サーディン」という新ブランドとして売り出された、別の老舗魚介缶詰メーカーの商品のパッケージは、ポルトガルの街並みやアメコミ風イラストを採用したり、また金塊のようであったりと、とてもユニークです。
同ブランドのマーケティングディレクターのソニア・フェルゲイラさんによると、これらのインパクトのあるパッケージは、単に奇抜さを狙ったのではないとのこと。
「伝えたいのは、ポルトガルが誇る魚介缶詰の歴史や伝統、情熱などのストーリーですが、消費者は常に心の琴線に触れる新しい体験を求めています。だからこそ、私たちのブランドもこれまでの缶詰のイメージを払拭するような、ポップでカラフルなものにしているのです」と、こだわりの理由を説明してくれました。
ニューヨークのタイムズスクエアにも出店を果たすなど、注目の高さを鑑みると、その戦略は大成功のようです。
健康志向で現代人の生活にマッチ
見た目のかわいさで再注目された魚介缶詰ですが、同時に栄養価の高さや利便性も、健康志向で忙しい現代人の生活にぴったりだと改めて見直されています。
確かに、イワシ缶やサバ缶にはファストフードなどでは摂りにくいDHAやEPA、ミネラルやビタミンが豊富に含まれています。
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