他人事ではない「水原一平騒動」に経営者が学ぶ事 問題点はチーム大谷のガバナンス欠落にある

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通常、オンライン銀行の利用規約ではIDやパスワードの管理に関して、第三者に漏洩した際の不正送金に関する注意喚起や、漏洩した際には迅速に銀行側に連絡をする必要があるといった義務を利用者に課しています。

もし今回の不正送金に関して、大谷選手が銀行に補償を要求した場合、口座開設のIDやパスワードの設定をする場に、通訳といえども第三者である水原氏を同行させたのは大谷選手自身の判断であり、漏洩したIDやパスワードの変更を行わなかったのも大谷選手の責任として、銀行側が拒否する根拠になるかもしれません。

また、何十億円という給与が支払われる自身の給与口座を大谷選手は数年間放置していて、不正に気がつかない状態だったと報じられています。

大手に任せているから大丈夫という放漫

信頼関係が築けていたからこそ右腕による不正に気づけなかったというのは、一般企業のオーナーにも言える話かもしれません。

仕事からプライベートまですべてを把握している人物を右腕として置くのは、時としてリスクを伴います。

では大谷選手の場合、水原氏以外の人物を通訳として雇う選択肢はそもそもなかったのでしょうか。問題は、チーム大谷としてともに動く、代理店にもあります。

大谷選手のエージェントであるネズ・バレロ氏は、CAAスポーツに所属しています。CAAスポーツは、トム・ハンクス氏など著名なクライアントを抱えるエージェント企業、CAAのスポーツ部門です。大谷選手の代理人として理想的な大手企業であり、安心だと思われる方も多いのではないでしょうか。

ところが訴状によると、CAAスポーツは大谷選手の代理人であるにもかかわらず、日本語を話せるスタッフを雇用していなかったそうです。

さらに、日頃から密なコミュニケーションを持つことが大切な大谷選手と直接話すことはなく、すべて通訳である水原氏を介してコミュニケーションが取られていたとされています。

エージェント側にも、英語が堪能ではない大谷選手とコミュニケーションを取るために、日本語が話せるスタッフは必須なのではないでしょうか。

大谷選手が所属するドジャースの本拠地、カリフォルニア州における日本語通訳の年収は、650万円から1250万円ほどだと言われています。それにもかかわらず、水原氏の通訳だけに頼っていたことに、衝撃を受けた人は多いことでしょう。

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